TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青き歌姫と白い太陽 #8【外伝】

G02_08-01.jpg


「・・・ねぇ、しろサン」

「うん?」

「“礎歌”の力のおかげでみんなを助けることが出来ました。それは後悔してません。
けれど、不必要になったこの“力”を、未だに持ち歩いている自分が、少し怖いんです」

「お前は大丈夫だ」

「マルクス卿のご子息の事を覚えていますか?」

「シレーナをかっさらったあの変態貴族のことか?」

「『貴族の息子である』という力を持っていた事が、彼を凶行に走らせた、とは思えませんか」

「・・・まぁな。アイツは一人じゃ何も出来ない奴だったしな」

「人は追い詰められた時、何をするか分かりません。そこに『力』があれば、禁忌を犯すことも厭わない。
こうして帝国の人たちに追い込まれている今、私もいつか恐ろしいことをしてしまいそうで
――みんなを助けたこの力を、酷い事に使ってしまうかもしれない。そんな気がして」

「お前はアイツとは違うよ」

「ううん。彼がちょっと位の高い家柄の出身だったのと同じように
――私も、少しだけ特殊な魔法の扱いが出来るだけの、ただの女の子なんですよ?」

「・・・」

「・・・ただの女の子なだけで、良かったのに」











G02_08-02.jpg

「ふう」

書類の束からやっと解放され、ヨルムは安堵のため息をついた。





G02_08-03.jpg

「お茶でございます」

「いいタイミングだ、エシュター」



机に置かれたカップから登る湯気を見て、ヨルムは口元をほころばせた。


「しかし急に忙しくなったものだな。先月までは閑古鳥が鳴いていたというのに」

「だんな様との商いを求めている方はそれだけいるという事です。
帝国の横槍が無ければね」

「やれやれ、現金なものだ」



実際、つい最近までヨルムは暇を持て余していた。
オルティウス家は代々『帝国の御用達』という強力なブランドを有していたが、
その帝国の圧力により、最近では取引先とのパイプのほとんどを断たれてしまっていたのである。

だが、先の一件でオルティウス家はメイジギルドの庇護下に入り、
帝国の嫌がらせから解放された事で状況は一変した。
断絶された取引先の代わりに、メイジギルドが傘下の商人を紹介してくれた事で
オルティウス家は何とか息をつなぐことが出来たのである。

ただ、結果としてヨルムは新規の取引先を大量に抱え込むことになり、
それぞれへの交渉や調整に忙殺されることとなった。
ゼロからのスタートではないだけマシとはいえ、この忙しさには歴戦の実業家ヨルムも
疲労の色を隠せなかった。


「とはいえ、仕事があるだけ有り難いというものだ。
帝国の庇護下にいた頃の収入には及ばないが、何とか屋敷を質に入れずに済みそうだな」

「最近のだんな様の忙しさを見ていると、お若い頃を思い出します」

「確かに駆け出しの頃は忙しかったが、あの頃は親から取引先を受け継いだだけのような物だ。
帝国のお墨付きのおかげで無茶な取引も大概上手くいったものだしな。
ひょっとしたら、今までで一番忙しい時期なのかもしれん」

「いいえ。私が言いたかったのはお仕事ぶりの事ではなく」



エシュターは微笑んだ。


「駆け出しの頃のギラギラした感じに似てらっしゃる、と言いたかったのです。
最近のだんな様は実によい顔をなさる」

「こいつめ。あの頃はお前も若造だった癖に」



生意気な執事にヨルムが苦笑すると、階下から心地よいメロディが流れてきた。


「――メルセデスは随分上達したようだな」

「ええ。めざましい上達ぶりだそうで。最近は即興で作曲されるようですよ」

「何だって?」



ヨルムが耳を疑うのも無理はない。
メルセデスがクロエにピアノの練習を乞い始めてからまだ一週間と経ってないのだ。


「それはすごいな」

「血のなせる業、でしょうかね」



エシュターはうっすらと笑った。
が、少し困った顔をしている様にも見える。


「ただ、その、センスが、まだ幼くいらっしゃるというか、少々アレですが」


階下から軽快なピアノの音と共に、その「少々アレ」な歌が元気すぎる程に轟いてきた。



















G02_08-04.jpg



















G02_08-05.jpg

「どうかな、クロエ?」


精一杯歌い切って、ドヤ顔で振り返ったメルセデスの気分に水を差さぬ様に
クロエは微妙な笑顔を貼りつけて何とか言った。

「まぁ・・・元気があっていいんじゃないかな?」

「えへへ」

「でも、すごく上手になったね。覚えるのが早くてビックリしちゃった」

「クロエと一緒に練習してると楽しいの!」

「・・・うん、私も」



本当に嬉しそうに、クロエは笑った。


(また、こうして誰かと一緒に歌える日が来るなんて思わなかった)


「クロエも楽しい?」

「ええ、とっても」

「そうだね。しろサンも一緒にやればいいのに」

「まあ」

「ヘンかな?」

「どうかしら。一緒に出来たら楽しいとは思うけど」



あの無骨なカジートがピアノの前に向かっている所を想像して、
クロエは思わず吹き出しそうになる口元を押さえた。




















G02_08-06.jpg

「楽しそうだな」


屋敷からこぼれるピアノの音を聞きながら、ホワイトサンはつぶやいた。


「クロエには無理をさせてないか?」

「気を遣われているところはあるでしょうけど。
今は一緒に歌える家族が出来たのが本当に嬉しいみたいで」

「そうか」

「でも最近まで、どうやってあの子を受け入れたら良いのかずっと悩んでらしたんですよ。
しろ様が来てから吹っ切れたみたいですけど」

「ふむ」

「何があったんですかねぇ?」



ジトッと、小柄なメイドがホワイトサンの顔を覗き込んだ。


「・・・別に俺は何もしてねえよ」

「やーい女たらしー」

「ハタくぞ豆メイド。確かに少しだけ話を聞いたが、俺は何も言ってねえ」

「夜中にお嬢様の部屋で2人きりで」

「・・・何で知ってんだ?」

「ふふふ。家政婦は何時だって見ているのです」

「む」

「やーい姉妹丼ー」

「お前なあ・・・」



ホワイトサンが充分に機嫌を損ねたのに満足してから、「冗談ですよ」と前置きして
レンは突然真顔になった。


「屋敷のロビーからピアノの音が聞こえてくるのも随分と久しぶりな気がします。
『お嬢様』が貴方と出会われる前は、よくクロエ様と二人であそこで遊んでいました。
お嬢様が歌って、クロエ様がピアノを弾いて」

「どこかで聞いたことがある気がするな」

「・・・いえ、中々外に出られないお嬢様のためにクロエ様がピアノを弾くようになった、
という方が正しいでしょうか」

「なるほど、昔からあやすのは得意だった訳だ」

「言われてみればそうですね」



レンは微笑んだ。


「でも、お嬢様も『礎歌の姫君』としての修練があって忙しくされていましたから
クロエ様も寂しかったのかも知れません」



そう言ってレンはオルティウス邸を仰いだ。
屋敷からはクロエとメルセデスの歌声が聞こえる。
石造りの建物から漏れ出る歌声は微かなものだったが、何やら楽しそうだ。


「クロエ様も、血を分けた姉妹でありながら『礎歌の姫君』の資格が無いばかりに
姉に全てを任せるしかなかった事に負い目を感じていた部分はあったでしょうけれど、
それ以上にたった一人のお姉様に構ってほしい気持ちもあったのではないでしょうか。

・・・思えば、2人にとって姉妹でいられる時間は、あそこで歌っている時だけだったのかもしれません」



ホワイトサンはうなずいた。
彼女達を隔てる運命さえなければ、仲睦まじく、とても微笑ましい姉妹だっただろう。


「歌っている時のお二人は本当に楽しそうでした。
礎歌の一族の使命に縛られずに、自分達のためだけに伸び伸びと歌うあの二人の姿は、
この屋敷の癒しでした。ちょうど、今のあの二人みたいに」

「・・・なるほど、いつもの光景ってやつか」



ホワイトサンは鼻を鳴らして笑った。





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「どうしても、行かれるのですか?」

「オルティウス家は日常を取り戻した。門外漢が居続けるには肩身が狭い」

「その光景に、貴方がいる事をとがめる人はここには居ませんよ?」



その口調は穏やかなものだったが、レンの表情はとても寂しそうだった。


「誰も貴方を憎んでいません。むしろ感謝しても足りないくらいです。
貴方にここにいて欲しいと思う気持ちは、私たちだって同じなんですよ」

「・・・」

「少なくとも私にとっては、今でも貴方はお嬢様の王子様です。
命懸けでお嬢様の笑顔を取り戻して下さった貴方を、誰が責められるっていうんですか。
一人で抱え込まないで下さい。貴方はそんな顔をするために戦ってきたんですか?」



まっすぐな目で、レンはホワイトサンを見た。
言いたい事を言った。今、彼はどんな事を思っているのだろうか。
人間やエルフにカジートの表情を読み取るのは、難しい。


「俺はそんな大層な人間じゃねえし、そういう事が出来る男じゃねえ」


やや沈黙があった後、ホワイトサンはこう言った。


「いや・・・そもそも一度、人間を辞めてんだよ、俺は」





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そう言ってホワイトサンはレンに、オルティウス邸に背を向けて歩き出した。
レンはその背中をいつまでも見送っていたが、遂に彼が振り返る事は無かった。




















***





















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「・・・お前」

「無理です!」







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「無理です。
完全武装した帝都兵2人に組み伏されたら、素人の私には抵抗することも逃げ出すことも出来ない・・・
使うしか・・・無かったんです」

「・・・・」

「普通の人なら、こんな事にはならなかったのに」





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「私、ただの女の子なだけで、良かったのに」













注釈



●マルクス・ルーベンス

Legend of Divaより。
シロディールでは珍しいウッドエルフの貴族。
息子マルコはその権力を笠に着て帝都で好き放題に無法を働いていたが、
シェリスから彼の所業を聞き、自ら帝都兵を引き連れて息子の逮捕に向かった。

この物語においては、彼は帝国議会のメンバーの一人であったが、
一連の事件が解決した後、マルクスは息子の不祥事の責任を取って議会職を辞任している。
ただ、彼の辞任によりシロディールの復興計画に遅れが生じてしまったため、
この事件を解決した中心人物であったホワイトサンは更にオカトーの不興を買った。


●ヨルムのお仕事

原作では不明。
一応、シェリスの口からは「代々王家に縁のあるそれなりの商家」という説明が聞けるが、
この時点での彼女は正体を隠しているため、まったくのウソという可能性もある。
実際オルティウス家(シェリス家)がどうやって収入を得ているかという点については
プレイヤーが想像力をはたらかせる所だろう。

この物語におけるオルティウス家は、表向きは帝国御用達の老舗問屋だが、
実際のところは礎歌の一族の保護と秘匿のため、「古の盟約」のもとに
帝国から援助を受ける事で商人として装い続けてきたという事にした。

ただ、帝国お墨付きの文字通り「殿様商売」だったとはいえ、それで商売を続けてきた以上
代々オルティウス家当主にもそれなりの苦労があった筈である。



●ファルウィル・インダリス

チェイディンハルの騎士団サークル「イバラ騎士団」の会長団長。

チェイディンハル兵の話を聞く限りでは、完全武装でその辺を散歩した話を
酒場で冒険譚に書き換えるのが主な活動内容の様だが、オブリビオン・クライシスの
際にクヴァッチの英雄の力を借りてオブリビオン・ゲートの破壊に成功したため
英雄の一人として数えられる様になってしまった。

余談だが、オブリビオン・クライシス以後、様々な英雄譚が作られたが、
「英雄」と呼ばれた人間のほとんどが吟遊詩人の取材を拒否する中、ファルウィルは
常に誰でもウェルカムな状態だったので彼に関する詩は他の英雄と比べると非常に多い。

(一方で、その詩の多くは後の歴史家たちに『資料的価値がなさすぎる』と罵声を浴びせられた)



●礎歌の力

ゲーム中にこういったシーンはないが、ゲーム内書籍に礎歌の一族の先祖が
魔物を礎歌の力で異次元に送り返す描写が存在する。



●ブレマンの横の人誰?

G02_08-13.jpg

皆さん、イバラ騎士団にファルウィル・インダリス、ブレマン・セニアンに次ぐ
第三の男が存在したことをご存知でしょうか?

それが、彼、ジャレッド・ストロングブレードさんです。
(※画像はWACの影響でヒゲが映えてますが)

彼にはイバラ騎士団の宿舎で会えますが、彼のAIパッケージ(1日の行動)を見てみると
(室内で)動いて、食って、寝るというパターンしかないため、
基本的にイバラ騎士団宿舎から一歩も外に出ないキャラのようです。

何年もOblivionをプレイしていますが、今回の撮影で初めて彼の存在に気付きました・・・。
ファルウィル達のゲート突撃に何で連れて行ってもらえなかったのか。
こういう活躍の場を与えられない不憫なキャラはまだまだいるのかもしれませんね。ブレイドの隊長とか。



・・・ハイ、今「ブレイドの隊長ってジョフリでしょ?」って思った人、
すぐにクラウドルーラー寺院に謝りに行きなさい。









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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2014/04/16(水) 22:19:58|
  2. RP小説外伝-しろメル篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<【他ゲー】最近遊んだゲームとか | ホーム | 【RP小説】青き歌姫と白い太陽 #7【外伝】>>

コメント

お疲れ様でございます。

イバラ騎士団の歌、「フラー」だからミラーマンあたりで来るかと思ったのに鉄人でしたか。
彼を救出した後、隊舎に行くなんてことをしたことがなかったので、こんな奴がいた事さえ知りませんでした。

ちなみにブレイドの隊長も知りませんでした…。
ジョフリじゃなかったとか…。
  1. 2014/04/21(月) 21:05:53 |
  2. URL |
  3. 鋼鉄蒸気 #2PRdxZIg
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>鋼鉄蒸気さん

選曲は鋼鉄さんのブログ見てて思いつきました。
や、「鉄」しか共通点ないんですが。

ジャレッド氏は完璧にモブなので仕方ないとして、ステファン隊長の空気っぷりは酷いものです。
一応、彼の活躍としてはブルーマのスパイを捕まえるクエストを開始するための会話が
ささやかながら用意されているのですが、大抵の人はスルーして直接バードのところへ行くので
話しかけた事すらないという人も多いという・・・。
  1. 2014/04/21(月) 21:44:15 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:天気輪
天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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