TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青き歌姫と白い太陽 #6【外伝】

G02_06-01.jpg


「――後から『ダグルカイ会戦』、なんてご立派な名前がつけられたが、ありゃあ
そんな言葉でまとまるお行儀の良いモンじゃなかった」

「・・・怖かったですか?」

「あの日、俺達を待っていたのは地平線いっぱいに埋め尽くされたオーク達だった。
味方も『死ぬ』って言葉を辞書で引かせなきゃいけねえ様なロクデナシばかりだ。
まわり中、敵も味方もバタバタと倒れていった。
俺の目の前にもオークどもが次から次へと現れて、仲間に気を配る暇もなかった」

「・・・」

「気付いた時には周りに味方はいなくなっちまった。それでも奴らは止めねえんだ。
目の血走ったオークが斧を振り上げるたびに、俺は死にもの狂いで剣を振り回したよ。
その内手も足も痺れてきて、目までくらんできやがってな・・・

――その時だ。目の前が突然真っ白になっちまった」

「真っ白?」

「それが霧の中だと気付くのに随分時間がかかった。
俺は乱戦の中で疲れ切っちまって、そこが何処かなんて考える頭もなく
ただ霧の中をぼんやり歩いていた。

その内、霧の中を歩いているのが俺だけじゃない事に気付いた。
見覚えのある顔や、鎧が何人かあった。
その中には俺の目の前で死んだ仲間や、俺が斬り倒したオークもいた」

「え――」

「ふと空を見上げたら、霧が晴れていた。
満天の星空の上に、七色のオーロラがカーテンみたいにかかっていて綺麗だった。
その空の下に、ぼんやりと輝く暖かい家が建っていた。
木造で――ブルーマみたいな――それがノルド様式の物なのはすぐに分かった」

「――ソブンガルデ!?」

「さぁな」

「それから?」

「いや、この話はこれで終わりだ。
他の連中があの家へ向かって歩き始めた次の瞬間、俺は血の池の中で目を覚ました。
そこはダグルカイの本陣で、敵と味方が作った血だまりの中に俺は突っ伏していた。
遠くから味方がときの声を上げるのが聞こえたが、俺の周りに立ってる奴は誰もいなかった。
本陣に強襲をかけて、生き残ったのは俺一人だったんだ。」

「神様が、まだ来るなって言ったんですね」

「どうだろうな――俺には、お前のあの世はここじゃねぇって言われた気がしたがね」











アルケイン大学のとある一室――


G02_06-02.jpg


「おう、使わせてもらってるぜ」


顔を合わせるなり、不法侵入者はそう言った。


「私が最後にこの研究室を出た時、確かに施錠した記憶があるが、何で君がいるんだい?
もう少し良識のある人間だと思っていたのだけれど」

「そんなモンはお前と付き合ってる内に吹っ飛んだよ」

「私でも古巣に戻ったら挨拶する程度の良識はあるよ」

「抱き締めてキスでもしてやりゃ良かったか?」

「なるほど。男性と肌を重ねなくなって久しいが、君ならまあ良いかもしれない」



その言葉に驚いた様に、カジートは耳をぴこんと立ててしばらく女魔術師を凝視していたが、
すぐにぷいと顔を背け、ぼそぼそと言った。


「・・・恥じらいは良識の内に入らねぇのかよ、ビクター」

「変わってないようで何よりだ」






G02_06-03.jpg

「お帰り、ガリアン。いや、今は<ホワイトサン>と呼んだ方がいいのかな」



ビクターと呼ばれた女魔術師は、自分で言った冗談で顔を真っ赤にする
ホワイトサンを見て柔らかく笑った。

が、鼻を突くアルコールの臭いに、その笑顔はすぐにかき消された。


「ところで、さっきから何を作っているのかね。アルコールの臭いがするぞ」

「マッツェだよ。お前にも後でお裾分けしてやる」

「マッツェ?マッツェ酒のことか?」

「お前すごいモン作ったな。何か月もかかる酒造りの肯定がこいつに材料ぶち込めば30分で済むんだからな」

「・・・昔から君は新しい分野を開拓することにかけて、君は他の追随を許さない男だったな」



と、ビクターは口ではホワイトサンを褒めながら、ため息を吐いた。


「前から言ってるが、それは醸造器じゃない」





G02_06-04.jpg

錬金術に疎い諸君らにも解説すると、彼女の言う通り、この禍々しい装置は決して醸造器ではない。

この装置は魔術師――いや、錬金術師ビクターの提唱するHeretical Sacrament(異端の秘儀)を
行うための祭壇である。

従来、武器や鎧などにエンチャントを行った際、その物品に付与された魔力は物品に強く結び付き
取り外す事は不可能であった。
これはソウルジェムに込められた魔力を物品に注ぎ込むという従来のエンチャント方式に依るもので
あったが、力の「付与」ではなく、「融合」を行うことにより物品から物品へのエンチャントの
移動や異なるエンチャント同士の合体、消去、あるいは物品そのものの性質を変化させる事すら
可能にしたのがこのHeretical Sacramentであった。

この技術の開発によりビクターは付与魔術<エンチャント>の権威としてその界隈の
研究者達に広く知られる事となった。
が、彼女は研究には熱心な反面、大学の講師としては適当な授業をする事でも知られており、
変わり者であることも手伝って学内ではあまり尊敬の対象になってない様だった。


「まぁ、私の本業は錬金術師だからね」


とビクターはうそぶく。



「言ってやがれ」

「ところで、今日はメルセデスちゃんは来てないのかね?」

「置いてきた」

「何故?」

「お前に会わせると怖がるからだよ」

「失敬な。私ほど美しい女性を敬い、崇拝し、愛でることが出来る人間らしい魔術師はいないぞ?
あぁ、メルセデス、君を思うと私の心は薔薇の様に咲き誇るというのに貴女にとってこの思いは茨だと言うのか。
私はこんなにも君を抱き締めて頬ずりして指が折れるまでなでなでしたいというのに」

「・・・お前のそういう所が怖いんだよ」



ホワイトサンはため息をついた。


「しかしまぁ嫌われたものだな。白痴のような状態だった『生まれたての彼女』に
人並みの知恵を与えてやったのは私だというのに。いわば私は彼女の母だ。なぁパパ?」

「パパとか言うな」

「ひどい男だ。あの時わたしは君たちの事情など何も知らず何も聞かずだまって協力して
あげたというのに。こんなに人間らしく男好きしそうなイジらしさを持ったいい女が、
学術の徒という言い訳を盾に女らしさを忘れた学院の中にこんなに女らしい魔術師が他にいるかい?
なぁガリアン?どうだいガリアン?」

「でもお前は女にしか興味がないんだろう?」

「馬鹿だなぁ。本当に馬鹿だなぁ。馬鹿だなぁガリアン。君は女心というものをまったく分かっていないよ」


(あぁ、もう、面倒くさいなコイツ・・・)





G02_06-05.jpg

「ところでガリアン。マッツェ酒と言えば、以前トラーベン学長が
試飲した時にいたく気に入っていたと記憶しているが」



自称「いい女」ビクターは急に魔術師の顔になって言った。


「お土産かい?君が親孝行をするなんて珍しいな」

「俺にも人並みの礼儀はあるさ」

「なるほど、オルティウス家を助けてもらった礼という訳だね」



とぼけようとしたホワイトサンは、回り込む様なビクターの言葉に顔をしかめた。


「耳が早いな。どこまで知ってるんだ?」

「君が帝都宮殿に殴り込んで、トラーベン師が仲裁に行ったころ、
ラミナスが泣きそうな顔で私のところに駆けつけてきたからね」



ビクターは述懐する。
トラーベンがオカトーに「オルティウス家は魔術師ギルドで保護する」と言い放ったその時、
彼の腹心であるラミナス・ポラスはそのための手続きや根回しの為に大騒ぎであったらしい。


「オブリビオン・クライシス以来、デイドラを召喚獣として使役する事が
制限される様になったからね。伝令が足りないと泣きつかれたよ」

「ジジイは決定事項みたいに言ってやがったが」

「どうせ各部署からの報告がオカトー大議長に届くのは君たちが議事堂を去った後だ。
たとえそれらの報告に多少の不備があったとしても、あそこでトラーベン師に
精神的敗北を喫したオカトー氏が、よく調べもせずにこの決定を認めたとしても
仕方がないだろうね」

「詐欺みてえなやり方だな」

「魔術師だからね。見事な頭脳の冴えだと私は感心するがね」

「まぁ、助けられたのは事実だからな」



ホワイトサンは憮然とした顔で鼻を鳴らした。


「それで、感謝の印にという訳かい?」

「・・・まぁ、この先もメルセデスを守ってもらうわけだしな」

「ガリアン?」



ビクターは、はっとした顔で言った。


「ひょっとして、何処かへ行く気なのか?メルセデスを置いて」


ホワイトサンは口ごもった。


「・・・」

「彼女は悲しむぞ」

「・・・あいつのいるべき場所は俺の側じゃない」



ホワイトサンは言った。


「知ってるだろう?メルーは無垢な子供だ。
今のアイツに必要なのは暖かい家族と人並みの暮らしであって、
血と鉄錆をまき散らしながら遺跡を荒らして回る生き方じゃない」

「君がそれを与えようとは思わないのか?」

「アイツにはそういう事をもっと上手くやれる家族がいる。本物の家族が。
帝国がメルーやオルティウス家を狙う事はなくなった。
アイツが俺の側にいる必要はもう無ぇんだ」

「だが――」

「俺は一度世の中を捨てた人間だ。一緒にいる時間が長過ぎた」

「・・・」






G02_06-06.jpg

「お互い、元の居場所に戻るだけさ」















***














G02_06-07.jpg

「おなか空いた時のスイートロールは宇宙だね。牛乳があるとさらに銀河なの」

「メルー様、だから食べながら歩くのはおやめ下さい!」

「お金は払ったからだいじょうぶなの」

「そういう問題ではありません。はしたないッ」

「えー」

「いいじゃないですかぁ。お腹空きましたもんね」

「レン、そもそもお前がパンを焦がさなければ買い出しに行く必要も・・・」

「エシュターさんはいつも血管切れそうなカオしてるの」

「なっ!?」

「きゃははははは」

「レン、今どういうつもりで笑った」






G02_06-08.jpg

「スイートロールいっぱい買ったね」

「レン、買いすぎじゃないか?」

「そんな事ないですよー。また急に食べれなくなるとも分かりませんよ」

「そんなに人気なの?」

「んーと、人気なのは確かなんですが、たまに金色の鎧のヘンなアルゴニアンが
大量に買い占めていくことがあるそうで・・・」

「よっぽど好きなんだねぇ」

「今ごろ何処で何をしているのだろ・・・ゲフン、早く屋敷に帰ろうか」













G02_06-09.jpg













注釈



●ソブンガルデ

分かる人だけ分かるネタ。
有名な映画のパクリリスペクトなので口を濁す程の事でもないですが。



●Heretical Sacrament

MOD「Heretical Sacrament」より。
ビクター(Victor)はこのMODに登場するNPCです。
女の子が好き、という性格は原作準拠です。マジで。詳しくはMODで。
Heretical Sacramentは非常に便利な機能が揃っているのでとりあえず入れておいても
損は無いと思います。

この番外篇ではホワイトサンがトラーベンの養子に入って以来、幼少からの親友という設定。
白衣は他のMODをリカラーして作ったのでオリジナルの外見と異なります。悪しからず。
髪型と目の色もいじってます。

ちなみに、オリジナルのHeretical Sacramentには醸造機能はないので試さない様に(笑)



●マッツェ酒

Matze。モロウィンド原産のお酒。
TES3 Morrowindで登場するほか、近作SkyrimではDLC「Dragonborn」でも登場したとか。
Oblivionでは大型MOD「Cobl」でその存在を確認することが出来る。

原料はお米。という事は日本酒に近い味なのだろうか。



●スイートロールは宇宙だね。牛乳があると銀河なの

意味不明。




●金色の鎧のヘンなアルゴニアン

メルセデスのスイートロールを食べるポーズを作った作者様の主人公の事。
お帰り、お待ちしております。



あけましておめでとうございます。
ゆるゆるとやっておりますが、今年もよろしくお願いします。



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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2014/01/02(木) 22:52:30|
  2. RP小説外伝-しろメル篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

あけましておめでとうございます。

あら、雰囲気の違う女性が出てきたと思ったら、なるほどModに出演のNPCさんでしたか。
そういえばkikiさん、年末にPCの不調を訴えたまま音信が途絶してますがいかがいたしたのでありましょうか…。
ちょっと心配です。

>スイートロールは宇宙だね。牛乳があると銀河なの

素晴らしい例えと思ったら規模が下がってませんか?w

相変わらずの文章力がうらやましい限りです。

何はともあれ今年もどうぞよろしくお願いいたします。

  1. 2014/01/02(木) 23:25:42 |
  2. URL |
  3. 鋼鉄蒸気 #2PRdxZIg
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>鋼鉄蒸気さん

あけましておめでとうございます。

Heretical Sacramentは機能的に非常に素敵なMODなんですが、
このMODに登場するVictorさんもセリフ自体はあまり無いものの、
非常にクセの強い人物で、いつか出したいなぁと以前から思ってました。
もともと変態ですがオリジナルより変態感が増した気がしますが。

>スイートロールは宇宙だね。牛乳があると銀河なの
メルセデスの事なので、銀河の方が・・・偉いと思っているのかもしれません。
意味不明です。

今年もよろしくお願いします。
  1. 2014/01/02(木) 23:39:12 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:天気輪
天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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