TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【プレイ日記136】哲学者の記憶

「あなたの意思に関係なく、不慮の死が流行り病の様に貴女を追いかけ回しているかの様です」

「あん?」



ふと、相棒がそんな事を言った。


「友人たちと敵があなたの傍で、あなたの刃によって倒れている。
たとえどんな行動を取ったとしても、いつも流血の幕を下ろしてしまう。
でも、貴女は自分が奪う命のことをよく考えたことなどないのでしょう。
貴女をよく観察してみても、夜はぐっすり眠っていますし」



また始まったな―――とアタシは内心舌を打った。










このアルゴニアンの戦闘魔術士と共に旅をする様になって随分経ったが、
『このモード』に入った時の相棒はスプリガンより厄介な存在だ。
結論が無い疑問を平気で投げかけ、鬱陶しいループにアタシを引きずりこもうとする。
頭が痛い。

そんなメンドくさい話はスルーすればいい話なんだけれど


「あなたが血塗れの人生に恐怖を感じないのは何故なんですか?」


その、嘘臭いほどに澄んだ瞳に射すくめられると、途端にアタシは太刀打ちできなくなるのだった。


「・・・何が言いたいのさ」


なるべく、面倒くさい風を装って答えを返したが、相棒はアタシが返答しただけでパッと顔を輝かせた。
―――何がそんなに嬉しいんだか。


「ある意味、あなたは裁判官であり、執行官であるということです」


クソ真面目な顔で、しかし活き活きとした口調で相棒は舌を滑らせた。


「あなたは敵を裁き、その場で、その結果に従い、人を生かすか殺すかしてますね。
どういう根拠で自分の行動を正当化しているのですか?神にでもなったつもりですか?」



アタシは相棒の尻尾に無言でブーツのカカトを落とした。
ギャッという情けない悲鳴が上がる。


「痛いじゃないですか」

「そうかい?アタシには踏んでくれって聞こえたんだが」



言葉の選び方を知らない相棒は、うらめしそうな顔でアタシを睨んだ。
涙目になりながら大事そうに尻尾を抱えて息を吹きかけている姿では何の迫力もなかったけれど。


「・・・言い換えましょう。自分の中で、何があなたにそのような生殺与奪を
する権利を与えているのですか?」

「あー・・・」



考える。コイツの言う事はいちいち難しい。


「・・・何ていうか、今更じゃねえか?襲い掛かってくる野盗は返り討ちにしてきたし、
依頼で悪党をブチのめしてきた事だって何度でもあっただろ」

「では、この前の強盗はどうですか?」



相棒は、一昨日ダガー1本でアタシ達の前に立ちはだかったみすぼらしい男について言及した。


「人から金品を略奪しようとする行為は悪です。ですが貴女は今まで山賊に止めを刺した様にはせず、
一発殴って追い払うだけで済ませました。彼と山賊では何が違うのですか?」

「それは・・・何ていうか、違うだろう」

「ええ、貴女ならそう言うと思ってました、クロエ」



どう説明したらいいか分からず、理屈の通らない言い方をしてしまったが、
相棒はいつも通り柔和な笑みを浮かべ、納得したようにうなずいた。


「彼は職業的な悪党ではなく、何かしらの理由で人を襲わざるを得ないほど貧困に陥ったみじめな男だった。
明らかに戦いに生きる者ではない彼の臆病な勇気を見て、貴女は同情を感じたのですね」

「・・・わかんねーよ」



真っ直ぐにこちらを見据える相棒の視線がくすぐったくて、アタシは目を逸らした。
このアルゴニアンのオブラートに包まない言葉は時々アタシの胸を落ち着かない気分にさせる。


「つまり、貴女は他人の運命を裁くのに自分の感覚を信じるということなのですね?」

「・・・多分な」

「貴女のそうした志は尊敬すべきですが、もし貴女の心が汚れてしまって、
世界を見る目が育ちのために濁ってしまったらと思うと・・・」



笑みが消え、相棒は深刻そうな顔でアタシを見た。
アルゴニアンの大きな瞳は、人の心の深淵まで見透かすためにあるんじゃないかと錯覚してしまう。

でも、アタシはそんな彼の不躾な瞳が―――何故か、嫌いじゃなかった。
むしろ、吸い込まれそうな程―――綺麗だな、と思う。


「ねえ、こうした事は考えた事はありませんか?
あなたが殺すほど憎んだ人は、社会では正しい人間だった場合もありました。
でも、あなたの歪んだ視野がそれを隠してしまったわけです」



アタシが笑って、ブーツのカカトを地面から持ち上げると
相棒は慌てた様に自分の尻尾をしならせて背中に隠した。


「貴女がそうしたよこしまな判断をするなんて思ってません」

「じゃあ言うなよ」

「例えばの話をしてるだけなんです、クロエ」



取り繕う様に、アルゴニアンは口早にまくしたてた。
相棒が慌てて必死に釈明をする姿を十分に堪能した後、アタシは足を地面に下ろした。


「でも、あなたが誰かを殺すことを決めた場合、人間ができる
最も重要な選択をしてしまったという事を言いたかったのです」



なおもアタシのカカトを警戒しながら、相棒は言った。


「彼、もしくは彼女の最も手放し難い宝とは、『命』です。
そして貴女はそれを、彼もしくは彼女から奪う決定をしたとします」

「うん」

「『そのような非常に重大な決定をする権利があるのは、神だけである』という人がいるかもしれません。
『神にさえその権利はない』という人もいるかもしれません。
選択の結果、何が正しいのかは個人によるのでしょう」

「じゃあ、つまり、そういう事だろ。さっさと酒飲んで寝ようぜ」

「・・・貴女は不思議です。そうやって自分の行く道を悩まない」



少し困った様な顔をして、アルゴニアンは微笑んだ。

戦闘魔術士という奴は、アタシの想像も及ばないくらい頭がいいんだろうな、と思う。
この哲学者の話に飽きて腰を上げようとする時、その笑みを向けられると
アタシはつい最後までこいつの話に付き合ってしまうのだ。
幻惑術の何かなんじゃないかと思う。


「貴女は、そうした重大な選択を行った時、自分を省みた事がどれ位ありますか?」

「・・・迷ってたら、殺されちまうだろ」



少し考えてから、アタシは言った。

アリーナの外側には新しい事が沢山待っていたが、それだけはアリーナの内側と同じだった。
アタシがもう少し賢ければ他の選択肢もあるのかもしれないが、殺される前に殺すしかない。
一度敵になった相手をやりすごす方法をアタシは他に持ち合わせてなかった。


「戦ってる時、その選択は一瞬で決めなくてはいけませんからね。それは否定しません」


アタシの言葉にうなずいて、相棒は言った。


「クロエ、貴女は間違いなく達人です。だから貴女が命を奪うことを決めた時、
一瞬――『神』のようになります。敵の運命を左右できる、ね。
そうして束の間、神になることは・・・麻薬にも似たものだと思えるのです」

「・・・何が言いたいんだ?」

「貴女が言った様に、命を奪うか否かは、考える時間を与えられる事もなくやってきます」



アルゴニアンが真摯な瞳で私を見る。
とても深く、透き通っていた。


「たとえ後からでもいいのです。あなたがその『選択』をする時、
私が言ったことを思い出してその重みのことを考えてくれればいいと思っています」

「・・・なんだよ、説教か?」

「いいえ、私の思った事を貴女と共有したいのです」



一瞬、胃に流し込んだエールがカッと熱くなった様な気がした。
気のせいか、顔まで熱くなっている様な。


「私の言葉をもっと理解してくれると嬉しく思います。
そのことをきちんと考えてくれることを願っていますよ」



まただ。
こいつは、本当に―――。
このアルゴニアンのオブラートに包まない言葉は、時々アタシの胸を、落ち着かない気分に、させる。


「ありがとう、友よ。一緒にいた間、私にしてくれた全てのことに感謝します」


この男の言葉は本当にストレートだ。
時々、自分はこいつとつるんでる内におかしくなってしまったのではないかと思う。
その物言いが妙に癖になって―――彼の言葉を、もっと聞いていたいと思ったり。


「何だよ、急に」


自分の内面が顔に出るのが照れ臭くて、アタシは相棒にそんな事を言った。
そうすれば相棒はきまって曖昧な笑みを浮かべ、場の雰囲気を濁してくれるのだ。


けれど。

予想通り相棒は少しだけ笑おうとしていたが、彼が本当に言いたい事を
まだ胸の中に隠しているのは、目を見れば分かった。


「―――XXX?」


不安になり、彼の名を呼ぶ。
その瞳がとても弱々しく、放っておいたら消えてしまいそうだったから。


「すいません、大丈夫ですクロエ。少し別のことを考えていました」


アタシの不安が伝わったのか、相棒はいつもの様に柔らかく笑った。


「何だよ。折角聞いてやってたのにさ」


いつも通りの彼に安堵し、つい憎まれ口を叩いてしまう。


「本当に大丈夫ですから。
ただ、貴女がいつも『選択』を恐れず、すやすやと眠るのを見てましたから・・・」



殺めてきた者達の感触を確かめているのだろうか、自分の右手を見つめながら相棒は言った。


「だから、私もいつか罪の意識が消えて、ぐっすり眠れることができる様になればいいなと、
思っただけですよ」

「・・・いつもアタシが寝ているところを見てるのか?」

「え?あ?その」



アタシがそう言うと、先程までアルゴニアンが纏っていた哲学者の仮面は
あっさりと剥がれ落ち、かわりに羊のようにオドオドと狼狽し始めた。


「いや、ま、まぁ・・・私が夜、この命題と戦っている時は、横ですやすやと
寝ている貴女を眺めているくらいしかすることがありませんからね。
眠れる夜を過ごせぬような暴力的な生活を送っているのに、それとは逆に
穏やかに眠る貴女の姿が好奇心をそそったというか、興味を引いたというか」



先程まで雄弁だった長い舌がクルクルと空回りする。
こういう時の相棒は、とてつもなく愛らしい。


「・・・今まで宿代ケチって折半で相部屋にしてきたけどさー」


だからつい、いじめたくなる。


「今度から部屋、別々にしよっか。XXXの思索を邪魔しちゃ悪いし」

「え――――」



その言葉を聞いた瞬間、相棒が逆立てた髪から尻尾の先まで元気を失っていくのを見て、
アタシは腹がよじれるまで笑った。













***













136-01.jpg

打ち鳴らす鉄と鉄の音を遠くに聞いて目を覚ます。
恐らく誰かが外で稽古でもしているのだろう。
ガキン、ガキンと鈍く響く剣の音は、クロエを急速に現実に引き戻した。

そして、今まで見ていた光景が、過去の夢であった事をじわじわと認識させた。
泥臭くも、幸せであったあの頃。
誰よりも臆病で優しいアルゴニアンが側にいた甘い記憶―――。


(こんな時に出てくるなよな・・・)


先程の夢を反芻しながら、アタシは口の中でつぶやいた。


アタシは、奴らを殺す。
身を守る為ではない。襲われた訳でもない。
ただ、アタシの殺意のもとに、殺すのだ。

それが正しいかどうかは―――個人によるのだろう。


まぶたの裏で、生真面目なアルゴニアンが寂しそうに笑い、そしてすぐに消えた。





136-02.jpg

(今は迷ってる暇なんてないんだ。だから
―――寝顔なら好きに見てていいから、少し黙っていてくれよ)



悲しげな笑顔にそれだけ伝えて、クロエは『彼』の幻影を脳内から追いやった。


クロエがベッドから立ち上がった時、彼女の顔からは過去を思う少女の憂いは消え、
戦いを求めるオークのそれへと変わっていた。




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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2013/05/23(木) 23:23:24|
  2. RP小説-戦士ギルド篇
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天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
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