TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【プレイ日記129】ピットドッグ【Short Tale#1】

「ツルッ鼻の牙無し野郎」


蔑れるたびに、「これは記号だ」と、心に燃える暗い心を抑えつける。
そう、ただの記号。ここではそれ以上の意味はない。

アタシの名はクロエ・タグ=オーザム。
「グロ」でも「グラ」でもなく「タグ」――メンでもマーでもない混ざり物という意味。

それすらも、ここでは意味がない。
舞台に上がればアタシはただの剣闘士という名の記号になる。


―――ここは、そういう所だ。









アリーナの門を叩いたのは、10回目のケンカで10回目に留置場から出た後だった。


「そんなに力が有り余ってるなら、ピットドッグにでもなったらどうだ?」


看守の冗句を間に受けた訳じゃない。
ただ、ひとりで生きていくには金が必要だったし、
物心ついた時から今までに、アタシが身につけた技術と言えば気に入らない奴を
ぶちのめす事だけだったからだ。

それに、

舞台に上がれば誰もアタシを差別しない。
上がれば、アタシはハーフオークでも何者でもないただの闘犬――ピットドッグだ。




「は、まだ生きてたのかい。ツルッ鼻の牙無しちゃん」


それでも、ムカつく奴は降りてしまえばどこにでもいた。
祭壇で血を拭い落として、ブラッドワークスに降りたアタシにそう声をかけたのは
イエローチームのクソババアだ。


「早くくたばってくれないかね?アンタの息が臭くてトレーニングに集中できないよ」

「自分の加齢臭と間違えてるんじゃないかい、チャンピオン」



言ってやった。
イエローチームのチャンプは、機嫌悪そうに首を傾げながら、「ああ?」とアタシににじりよって来た。


「アンタ、誰に口を聞いてるのか分かってんのかい?」

「ああ、自分で思ってる程みんなアンタの事ビビってないって分かったろ?」

「中途半端な肌色の癖して生意気なんだよ」



ババアがアタシに掴みかかろうとしたその時


「肌の色がなんだって?」


と。
すぐ横を振り返ると、灰色のオークが腕を組んで立っていた。


「興味深い話だな。もっと話してくれないか?」

「あ・・・う・・・」



灰色のオークの口調はあくまで紳士的だったが、そう言われるなり
イエローチームのチャンピオンと呼ばれたババアは途端に身を縮こませた。


「顔色が悪いようだな。トレーニングのしすぎじゃないか?今日はもう休んだらどうかね」

「あ、ああ、そうするよ、グランドチャンピオン」



そう言って、ババアは背中を丸めてアタシを睨み付けながら、ブラッドワークスの奥へ消えていった。

グレイ・プリンス。
全戦無敗のままグランド・チャンピオンの座に上り詰め、今なお無人の野を行くが如く
その最高位を死守し続けているこの男に逆らえる者など、このアリーナには居なかった。


「同情してくれてありがとう、って言うべきかい」

「別に。私にとっても気分の悪い話だっただけさ」



グレイ・プリンスはその名の通りオークの姿形をしながら灰色の肌を身にまとっている。
アタシと同じ様に、オークの混血だった。
そのせいか、こうしてちょくちょく私の身に降りかかる小競り合いに必ず顔を出すのだが―――


「自分の生まれを嘲るな。種の垣根を越えて契った我らの父母には、何か高貴な理由があったのだ」


この、いやにポジティブな励ましがいつも鬱陶しい。
何の自信を持っているのか知らないが、グレイ・プリンスは、
その名の通り自分が貴族の生まれである事を頑なに信じていた。


「別にどうだっていいさ」


生まれの事など、本当にどうだっていい。
物心ついた時には父も母もいなかった。
ならそれは―――そういう事で、それだけがアタシの真実だ。


「ただ、アンタを見て一つだけ見習おうと思ってる事がある」

「ほう?」

「グランドチャンピオンになれば、誰もアタシを笑わなくなる」

「なるほど」



グレイ・プリンスは、面白そうに片目をつむって見せた。


「来る気か、ここまで」

「機会があればね」

「ハーフオークの次のグランドチャンプがハーフオークか。素晴らしい。
 そうすれば誰も私達を笑わなくなるだろう」


そう言ってグレイ・プリンスは牙をむき出しにして笑い、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

―――アンタと私は違うよ。

その同族意識がいつも鬱陶しかった。
鬱陶しかったけれど。


嫌ではなかったんだ。




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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2011/08/24(水) 20:31:01|
  2. RP小説-戦士ギルド篇
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