TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青鬼は泣かない †19【外伝】





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世界は赤く染まっていた。
その色は、デッドランドの紅い景色とよく似ている。


懐かしい色だった―――――だのに、心は躍らなかった。



「何なのだ、これは」


その色を誰よりも好むドレモラ―――カステット・ギャノアーはただ呆然とその景色を見ていた。










「カステット・・・さん?」


聞き慣れたその呼び方に、カステットが振り返ると、
そこには息も絶え絶えにこちらを見るクッカマリアの姿があった。




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「何をしている」


カステットは彼女を抱き起こして呼びかける。
見れば、胸に大きな傷口が穿たれ、そこから染み出した血が修道衣に滲んでいた。


「うぬは人狼であろう。何故この程度の傷で―――」

「よくわからないですけど・・・ダメ、みたいです」



通常、ライカンスロープは普通の武器では傷付ける事が出来ない。
幾ら剣で斬ろうが槍で突こうがたちどころに再生してしまうのが
ライカンスロープの恐ろしさの一つであった。

だが―――彼女は、ライカンスロープでは、ない。
ただの森の民の末裔だ。


「やっぱりダメ・・・みたいですよ。私はここに居ちゃいけないって」

「・・・」

「怒ってるんですか?」

「・・・いや」

「嘘つき」



傷をこらえながら、クッカマリアは優しく笑った。





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「居場所が無ければ奪い取れって・・・きっと、カステットさんはそう言います」

「うぬは我をそう見るか」

「カステットさんは強い人です」








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「カステットさん・・・私、あなたが羨ましかった。
あなたを見て、知ってしまったから。
冷たい視線を向けられて、心無いささやき声に包まれて、
それでも堂々と日の下を歩く自由な背中を―――」



そこでクッカマリアは息を詰まらせ、ゴホゴホと咳をした。
口元を押さえたその手には、赤いものが混じっている。


「すごく憧れました。私には、とても真似できないって思ったから。
どうしてもどうしても手に入らない物だって、思っちゃったから」

「そうでもない。我を殺してみせたのは、定命の者だ」

「・・・すごい人がいるんですね」

「あれは自らを『ただの人間だ』と言った。
選ばれた者でも英雄でもないただの人間だと
―――――ましてやうぬの様な人狼に、出来ぬ道理があるものか」

「・・・あはは」



真剣に言うカステットを見て、クッカマリアは笑った。


「あはは。・・・カステットさんに誉められちゃった」


笑っていた。
泣いている様な、笑顔だった。
そして再び、血の混ざった咳をした。






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「貴方と居る時間はとても楽しかったです。
自分と似た様な境遇の人が側にいるって。
それだけでとても心がホッとしました。仲間が出来たみたいで」

「・・・」

「でも、やっぱり違います、ね。
同じじゃ、ないです」

「何を言っている」

「貴方みたいになれたら良かった。
貴方みたいに、世界から目を逸らさずに生きていけたら良かった。
そうしたらこんな事にはならなかったのに」

「何を言っている!」



カステットは叫んだ。


「欲する物があれば奪え!倒れたのならばまた立ち上がれ!
こんな一瞬の敗北で軟弱な事を言うな!」

「・・・欲しい物は、もうここに無いです」



クッカマリアは言った。





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「定命の世の物は、壊れたらそれっきりです。
それに、きっと貴方の様に強くなるには、私たちの寿命じゃ
追いつかないから―――」



その言葉に、カステットは目を見開いて押し黙った。

この軟弱な生き物に言いたい事は幾らでもある。
だが、何故か言葉にできない。


















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「ここまで築いてきた物が、私のせいいっぱいです。
・・・とても楽しかった。毎日幸せでした」





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「我慢しなきゃいけない事は沢山あったけど、やっぱり私は人間なんだって、
そう思える、とても尊い時間でした」

「放棄するな!幾らでも望めば良かろう!」

「・・・そうでしょうか?」

「我はまだうぬに借りを返しておらぬ!」



カステットは叫んでいた。
何がこんなに腹立たしいのか、彼自身もよく解らなかった。
















ただ、クッカマリアはそんな彼の言葉を、幸せそうに聞いていた。


「・・・そうですね。じゃあ・・・」





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ぼそぼそと、クッカマリアは言った。

穏やかに、ゆっくりと、残りの生命を絞り出しながら、
己の望みをゆらゆらと言葉に紡いだ。

















そして、とりとめの無い願いを空に吐きながら。


















彼女は、やがて動かなくなった。





































***






































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***

















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「だったら・・・2人でまた帝都を歩きたいです。
今度は私も耳を出して、カステットさんのツノとおそろいで。
これでもう寂しくないですね」

「そんな貧相な耳と一緒にするな」

「それから、我が侭も言います。もう誰かに遠慮したりしません」

「何をする気なのだ」

「えーと・・・カステットさんが悪い事をしたら、ちゃんと怒ります」

「今もそうであろう」

「じゃあ、少し厳しくなります」

「そうか」






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「あと、話しかけた時に無視されたら怒ります」

「今もそうであろうが」

「じゃあ、少し厳しくなります」

「そうか」


















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「それから―――」
















***


























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ああ――――成る程。















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取り戻すとは、こういう事か。
失うとは、こういう事か。












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―――やはり我は、オブリビオンに置いてきていた、この感情を。


























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『彼らはfuta prioryに火を放ち、跡形もなく焼き尽くしたのである。
我らのNineを祀る神聖な教会を、たった一匹のワーウルフの為に焼かざるを得なかった帝国兵たちの
心境は如何なるものであっただろうか。

残念な事に彼らからコメントを頂く事は出来なかった。
なぜなら、本作戦に参加した全員が現地で死亡していた為である。

帝国本部はこれについて、ライカンスロープとの交戦により全滅したと見ており、二次感染の防止の為に
尊い犠牲となった勇者たちの冥福を祈る、とコメントしている』











































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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/09/12(日) 00:00:50|
  2. RP小説外伝-青鬼篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

おはようございますっ
てか、燃えてるーーーーーーーーーーー!!
結局Nirnに安住できなかったんですね(つд・)
マリアさん、死んじゃイヤぁあああ!
  1. 2010/09/12(日) 09:18:12 |
  2. URL |
  3. かにうま #3IP1WHPs
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>かにうまさん

CSで頑張って燃やしました(笑)

>Nirnに永住

色々考えたのですが、こういう結末になりました。
細かい事はあとがきなどで。。。
  1. 2010/09/12(日) 21:49:42 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

お疲れ様です

こう言うクエスト、心からやってみたいです。
でも、私はカステットさんもクッカマリアさんも本当にどうにかして助けたい。
駄目かも知れないけれど、非力な人間(プレイヤー)として助けたいです。

でも、現実も同じですが、無理は無理。儚く脆い物ですね……

新しい物語を楽しみに待っています。
  1. 2010/09/13(月) 16:14:48 |
  2. URL |
  3. WOWOW #-
  4. [ 編集 ]

Re: お疲れ様です

>WOWOWさん

こんばんわ。初めましてでしょうか。


>心からやってみたい
ありがとうございます。
メインクエで人間賛歌をする一方で、こういう感じのクエストもあるのが
オブリっぽいなぁ…などと思いながら書いてました。

>プレイヤーとして助けたい
個人的にオブリのPlayerはシロディールにおいて異常にスペックの高い存在だと思ってます。
クヴァッチの英雄(Player)が居たらまた違った結末を迎えたかもしれません。
英雄不在のシロディール、という事で。




  1. 2010/09/13(月) 21:45:26 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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