TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青鬼は泣かない †17【外伝】




G1_17-01.jpg


「とにかく、オークが種族の特性として力が強い様に、彼女も少し身体能力が高いだけで
ライカンスロープみたいな病気でもなければ凶状持ちでもないわ」

「じゃ、お前はその子・・・クッカマリアちゃんの何を診てたんだ?」

「普通の人からはウェアウルフもホルケゥも大差ないのよ。
だからあの子はずっと自分の本性を隠して生きてきたの。耳と尻尾を修道服に押し込んでね。
多分、シグニーの入れ知恵だろうけれど。
・・・そういう生活が長く続く事が強いストレスになるのは、ボーちゃんなら分かるわよね?」



ボーラスは首を縦に振って肯定する。
彼は戦後から引き続き帝都の諜報活動の任に就いていたが、その上で身分を隠して潜入する事も幾度かあった。

変装はスパイ活動の常套手段だが、完全な他人に扮する事は自分を押し殺す事であり、
活動が長期に及べば、正体を暴かれる事の緊張感も合わさって
心理的な負担はかなり大きなものとなる。

ましてや幼少の頃から自分の本性を世に明かす事ができなかったクッカマリア―――
一見天真爛漫に見える彼女の、その心の内はどの様な物であっただろうか。











「人の群と訣別するつもりなれば、何故此処にいる」

「・・・せめて最後に、みんなを見ておこうと思って」

「たわけが。毎日森の淵に立ってこの屋敷を見ていた事を知らぬとでも思ったか」



クッカマリアはハッとして顔を上げる。
この男は、そんなに以前から此処にいる事に気付いていたのか―――


「人狼の娘」



『人狼』―――と、カステットは少女をそう呼んだ。


「ここから教会を眺めておれば、うぬ等の神が何かしてくれるのか?」

「そんな・・・つもりは・・・」

「否。ナインは魔を帯びし者を祝福したりはせぬ。いかほどを祈ろうが何も起きはせぬ」

「ち、違います、私は・・・」

「然り。うぬは知っている。己を狼と認めたならば。だのに何故まだこんな所をうろついておる」

「・・・・っ」

「否。狼ですらない。うぬはそうして森と人里の境をうろついている中途半端な生き物よ」

「ちがう・・・」

「群から離れて生きていくにはうぬは軟弱すぎる。
群にとって脅威であるうぬがあそこへ戻れる訳もない。
人の世を知っては狼に為れず、己が成り立ちを嘆いては人に戻れぬ愚かな生き物よ」

「ちがう・・・」

「何故あの女が我に剣を託したか、今なら解る気がするわ。
うぬの様な中途半端な生き物は、後々必ずこの集落に害を為すであろうと、そういう事であろう」

「ちがうッ!!」





G1_17-02.jpg


たった一歩で、クッカマリアはカステットとの距離を一気に詰め、その爪を突き立てた


「ぬうッ!」


それに対してカステットは銀の大剣を振り上げて攻撃を防ぐ。
硬質の物体同士が激しくぶつかり合い、夜空に火花が散った。


「貴方には解らない!人の視線も侮蔑も避けて歩く貴方には!
もう戻れないじゃないですか!戻らないじゃないですかッ!」

「もはや戻れぬと森に帰ろうと諦めていた女が偉そうにッ!」

「私だって迷ってたのに!」

「我とて罵倒を避けて歩いた覚えは無いッ!」

「言われたくない人だっているのにッ!」



いっとう激しい火花が上がり、二人は距離をとった。
















***


















G1_17-03.jpg


「・・・言わずともうぬを見れば震えあがる者もおるわ。そこで首を並べて見ているだけの者どもを見よ」

「・・・!」

「それがうぬの本質であろう。だのに今更己が嫌だ嫌だと自虐する軟弱ぶり、まったくもって反吐が出る」

「だから今まで隠してきたのに!そうしてればみんな笑っていられるって、
今まで上手くやってきたのに!」

「それすらも嫌になったのであろうが。己を偽って何が楽しい!」

「だったらッ・・・どうしろって言うのよッ!」

「そんなに己を嫌うならば精進せぬか、軟弱者が」

「このっ・・・死んじゃえっ!!」



上からあざける鬼神を猛獣の様な勢いでクッカマリアが攻め立てる。
カステットがそれを悠然と迎え撃つ。
















***


















G1_17-04.jpg


「・・・すごい」


あっけに取られて戦いを見守っていた子供達の一人がそう言った。





G1_17-05.jpg

月明かりの下、銀の剣を持った鬼と銀の毛並の人狼が躍る。

鳴り響く剣戟はリズムを刻み、刃がぶつかる度に弾ける火花が夜空を彩る様は
幻想的ですらあり、おとぎ話の神々の戦いを連想させた。
















***


















(あの剣はこれよりも重かった。あの刃はこの爪より鋭かった)


だが、その神話の中で、カステットは己に問う。


(『あれ』が言い張る『人間』とこの娘が擬態する『人間』―――何が違う?)


誰もが剣舞の行方に固唾を飲む中、カステットはひとり苛立っていた。
我を敗北させし者―――人間。

違う。
この戦いは『あれ』とは違う。
この娘のひとふりは、『あれ』とは違う。
何より――――



「・・・全くもって脆い」


神話の中で、鬼が呟く。



「たかが定命の者如きが一人で、我らに勝とうなどと」

「―――!」

「それでも、あの男は――――!」





G1_17-06.jpg

ガチン、とすごい音が中庭に響いた。
守る一方だったカステットの剣がクッカマリアが振り下ろした爪を弾き飛ばしたのだ。
ここまで防戦一方だった彼も、猛獣の力任せで単調な連撃に目が慣れてきていた。


「くっ―――」


クッカマリアは怯みながらも第二の腕を振り下ろす。
が、これも爪の先端がトップスピードに乗る前に剣の平を腕に叩きつけられ、軽く弾かれてしまう。

その後もクッカマリアは一心不乱に爪を振るうが、その挙動の出掛かりの全てを潰された。
















***


















88-11


G1_17-07.jpg


(――――――――――――――――――そうか)
















***


















「己が笑えぬ時は、誰かが己を励ますと」

「・・・え」

「そう言ったのはうぬであろうに、何故貴様は一人で戦う!」


ガチン、ガチン、と。
それまでクッカマリアの攻撃に合わせて動いていたカステットの剣が、
次第に彼女よりも手数を増していく。





G1_17-08.jpg

「誰かが笑えない時は自分が励ますと。だから己が笑えぬ時は、誰かが己を励ます筈だと。
あれはうぬの信念であろう!」

「そ、れは―――」

「ならば何故笑いを絶やさず生きるのだ!中身のない笑顔を振りまき続けるのだ!
得るべき物を得ず、マーラや誰かの言いなりに搾取され続けるのが貴様の最良か!」

「違う!私はただ嫌われたくなくて―――」

「そんなかりそめの思いが力になどなるものか!笑えぬなら笑うな!
欲するものは欲せ!助けが欲しくば叫べ!
脆弱なる定命の者の分際で孤高など気取るな!
貴様らの力はそういった物であろうが!」

「カステット、さん―――」






「この程度が貴様等の『強さ』というのなら――」

















89-04


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「―――たかが人間の意志が、ディードラを滅ぼせるものか」

















ドレモラは強き者を賞賛し、弱き者を侮蔑する。
群を成さねば生きられず、死にゆく運命に恐れる脆弱な魂を持つ定命の者達などその最たる下の下である。

だが、カステットは知っている。
その脆弱な魂をもって、ドレモラ達を脅かし続けたただの人間を。
ニルンから外れた者でありながら、己をただの人間と言い張り、誇りすら持っていたただの人間を。

『たかが人間の意志』が、『ディードラを滅ぼせる』ことを。



その強さが何であったのか、カステットはおぼろげながら理解しはじめていた。
















注釈



未完シナリオ補完計画その2。
本編テキストがオシャカになったのでせめてダイジェストでオチまで、という事で
現在進行しております。

DISC2に入れ替える前にセーブシマスカ?なんて言ってたら
本当にゼノ○アスのDISC2みたいになってしまいました・・・申し訳ない;


そして「今日は涼しいから今だ!」更新その2でもあったり。
そろそろ落ち着いて更新したいです。ブルーマ行きたい。






●カステットと定命の者

カステットは決して人間を賞賛している訳ではありません。

「ただの人間だ」と言い張り我を通し、意志を貫き通した英雄と、
「ただの人間」になりたくて己の運命から目を背けたクッカマリア。
2人が似て異なる存在である事は明らかですが、カステットは何か通じるものを感じたのかもしれません。

それでも「たかが人間の意志が」と言っちゃう辺りはドレモラとしての矜持か。ツンデレモラ。


ただ、この不死の住人は、己の言葉が定命の者にとってどれだけ過酷であるかまだ気付いていません。



●花吹雪

このエピソードを無理矢理収録したのは、これがやりたかっただけという(笑)
月下の戦闘っていいよね!

彼らの周りに散っているのは21SakuraというMODで桜吹雪を飛ばしています。
非常にキレイです。



●ドレモラ流剣術 絶・峰打ち

どう見ても斬られてますが、生きているので安心して下さい(笑)
絵面的にカッコ良かったので吹き飛ばしすぎました。
ごめんよクッカマリア。




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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/08/27(金) 22:11:44|
  2. RP小説外伝-青鬼篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
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コメント

/キャーカステットサーン\

クゥさん軽そうだから、さぞかし飛ぶだろうと思いきや
Horkewって思ったより背が高いんですよね。
「お前がちっさい種族ばかり使ってるんじゃねーか!」
って突っ込みはワバジャックです。

MPCとしてお招きしたら、プレイヤーより背が高かったんです…。
  1. 2010/08/28(土) 01:48:11 |
  2. URL |
  3. しど #NqNw5XB.
  4. [ 編集 ]

なんというか、すっごい説得力があるおじさまの言葉。
迫害とか受けてきて、でも戦いぬいたマジェラさんと戦った彼だからこそ言える言葉なんでしょうね。
クゥさんに届け、その思い!みたい。
孤児院のチミッコたちにもクゥさんの思いとかもう十分伝わってるんじゃないかなぁ。などと妄想しつつ失礼いたします。
  1. 2010/08/28(土) 21:22:09 |
  2. URL |
  3. N #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>しどさん

言われて気付きましたが、MBPで追加される種族は男性と女性で身長差がある物が多いですが、
Horkewは男女ともに1.0(Imperialと同じ)みたいですね。

ちなみにカステットはOrcやNordより少し大きい位の身長に設定してあるのでOrogに次ぐ巨人族だったりします。
あんまり画像には反映されてませんが…もう少し横幅があった方が良かったかも。


>Nさん

「人間の英雄」として戦いを挑んだ『彼』の意志を尊重する言葉でもあり、
同時に負けた事に対する見栄でもあったりします。
彼のタムリエルの民へのこだわりは普通のドレモラと比べてちょっと異常です(笑)

それが周りの人間には良い人に見えたりそうでなかったり。
何て言うかここは天然朴念仁の多いインターネットですね(何)
  1. 2010/08/28(土) 23:37:22 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

夜空バトルのSSが綺麗すぎます(≧∇≦)
>本当にゼノ○アスのDISC2みたいに
すんごい解りますw

うちもサクラMOD(しかも上書き)で入れたので
まだ桜が咲いてますw
  1. 2010/08/30(月) 21:34:47 |
  2. URL |
  3. かにうま #3IP1WHPs
  4. [ 編集 ]

 こんばんは~。掲載再開おめでとうございます。

 でもカステット君は、もう少し女の子の扱い方を勉強した方がいいんじゃないかと思います(爆)。まあそんなことを言っても
「無用だ。あの男とて女の扱いなど心得ていなかったではないか」
 と一言で片付けられてしまいそうな気もしますが。

 ともあれ、続きを楽しみにしております。
  1. 2010/08/30(月) 23:47:06 |
  2. URL |
  3. あまね #EBUSheBA
  4. [ 編集 ]

こんばんは、初めてお邪魔させていただきます
「たりほんオブオブリビオン」の日と申します。
先日はリンクのお申し出ありがとうございました!
こちらからも先程リンクさせていただきました、細やかにキャラクターの心情や情景を捉えた文面や、きれいなSSが大好きで以前からROMさせていただいていたので非常にドキドキしておりますが、改めて今後ともよろしくお願いいたします。

カステットさんと拳?で語り合うクッカマリアさん、鍛える前の鋼のようで強いのに脆くて見ていてハラハラしてしまいます…
生き抜くための強さを知るにはもっと炎を潜り抜けなければならないんでしょうね、切ない限りです。
とか言いつつ「ツンデレモラ」で爆笑してしまった私を殴ってください…><;
  1. 2010/08/31(火) 01:58:33 |
  2. URL |
  3. 日 #NkOZRVVI
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>かにうまさん

あのゲームはDISC2の超展開があってこそでもありますが・・・
悪いところばかり真似ていますねorz

そういえば一時期タテコマさんのTOP絵も夜桜でしたね。
すごく綺麗だったのを覚えています。


>あまねさん

なんとかポツポツ再開しはじめました・・・;

彼は女性の扱いどころか男性も女性も平等に扱います。悪い意味で(笑)
武士道はあっても騎士道はなさそうです。
定命の枠から外れてる生き物なのでその辺の感覚が違うらしいです。

>いっぽう、朴念神曰く

「だから、1人だった頃はそれなりに楽しくやってた訳で、その、アイツは相棒ってーか」

「マジェラ、みなさんが不思議な顔を」



>日さん

いらっしゃいませ。
こちらこそリンクありがとうございました。

SSは8割方加工に頼ってます。お褒め頂いて報われました(笑)
そろそろ「オブリじゃねぇ」って怒られそうな中二病紙芝居の様相を呈してきましたが
これからもお付き合い頂ければ幸いです。

ドレモラの事を調べてる時に彼らが敵に敬意を表したエピソードを幾つか読む事が出来たのですが、
デレ方が極端で最近愛着が沸いてきました。

ちなみにゲーム本編でも名声の高い状態で強い魅了をかけるとドレモラもちゃんとデレてくれます。
それほどセリフは多くないですがすごくいい人に見えるから不思議(笑)
  1. 2010/08/31(火) 21:57:29 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
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