TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青鬼は泣かない #15【外伝】






G1_15-01.jpg


その時、絹を引き裂く様な悲鳴が、森の中にこだました。



「何だ?」

「あの子たちの声・・・!」












G1_15-02.jpg


「シスター!」


ほどなくして、子供達が青い顔をしながらこちらに駆けよってきた。


「一体どうしたの?!」

「山賊が!山賊が追ってくる!」

「そんな・・・ここは人里も近いのに」



子供たちの報告に驚きながら、彼女達が1人欠けてる事に気が付いた。


「オデイラは?あの子はどうしたの?」

「あいつらに捕まってるんだ・・・どうしよう!」

「!・・・カステットさん、子供達をお願いします」

「なに?」



言うなり、クッカマリアは一目散に駆け出した。



「シスター!」

「お姉ちゃん!」



子供達が口々に彼女の名を呼ぶ。


「ど・・・どうしよう・・・?」


不安げな目で、子供の一人がカステットを見上げた。


「・・・助けに行かぬのか」

「え」






G1_15-03.jpg

カステットにそう言われ、子供達はキツネにつままれた様になった。
助けを求める子供に対して、そんな言葉を返した大人に彼女達は今まで出会った事が無かったから。


「・・・あれもニルンで、これもニルンか」


どこか不機嫌な顔で、カステットは忌々しそうに吐き捨てた。


「寝床へ帰れ」



そう子供たちに短く言い捨てて、彼は既に見えなくなりつつあるクッカマリアの後を追った。

















****

















G1_15-04.jpg

「あの女・・・」


カステットも反射的に彼女の後を追ったが、驚くべき事に後を追うのがやっとであった。
彼女は走りづらい森の地形を物ともせず、木々の間をすり抜ける様に駆けて行く。


(この森に慣れているのか。まるで狩人の様だ)


普段の穏やかな姿勢からは想像できないクッカマリアの俊敏さにカステットは感心した。








G1_15-05.jpg

「オデイラ!」

林の間を抜けて少し開けた場所に出ると、そこには孤児院の生徒を捕らえた
見るからにならず者と言った風の男たちが2人いた。


「おぉ、ご家族のお出ましだ。お姉ちゃんかな」

「あなた達・・・子供になんてこと」

「軽く小突いたら気絶しちまっただけだ。まだ息はあるぜぇーッ・・・今は、な」


ニヤニヤと笑いながら、毛皮鎧を着たノルドは言った。


「その子を離して!人を呼びますよ!」

「呼んでみろよ。こんな森のど真ん中に誰がいるってんだ?」

「あなた達、この土地の人間じゃありませんね」



勇気を振り絞る様に、クッカマリアは気丈に言った。


「ここはあなた達が思っている程森の奥深い場所ではありません。
私の足なら街道に出てすぐに巡回兵を呼ぶ事も出来ます」

「そんな余裕誰がくれてやるって言ったよ?」






G1_15-06.jpg

「あんたの心がけを待ってやってんだぜ?ああッ!?
足元見てんじゃねーぞコラァッ!」

「っ・・・」

「解ったらさっさと身ぐるみ出せや。こっちはその為にこんなメスガキ保護してさしあげてんだからよォーッ」



どうやら弱い者をいたぶる事を目的とした血に飢えた野獣ではないらしい。
どちらも畜生である事に変わりはないが。

クッカマリアは黙って、懐からセプティム硬貨の詰まった小袋を取り出そうとした。


「何やってんだよォーッ」

「・・・!?」

「身ぐるみ置いてけって言ってんだろ?全部脱げよ、全部」



そう言ってフードを被ったブレトンが舐め回す様な視線でクッカマリアに言った。


「それは・・・」

「俺達、愛が足りてねーんだよ。解るよな、シスターァッ」

「さ、ぬぎぬぎしましょーかねぇ」

「・・・ッ!」


男たちの下卑た視線に、ゾクリと背筋に冷たい物が走るのを感じ後ずさったその時―――
クッカマリアの肩口を何か大きな塊が高速で横切った。







G1_15-07.jpg

「ちにゃッ!?」


顔面を強かに打ちつけたその物体―――棍棒に、ノルド男はカエルが潰れた様な悲鳴を上げた。
それから間髪入れずに、ザザザザと草むらを走る気配が近付いてきて






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「フンッ!」


よろめいたノルド男をダメ押しとばかりに手近な木に叩きつける。
彼は激しく吹き飛び、悲鳴をあげながら地面をジタバタと転がった。


「カステットさん!」

「て、てめえ!」


突然現れた大男の出現に驚きながらも、フードのブリトン人は胸の前で両手を組み、複雑な印を切った。




G1_15-09.jpg

「熱く滾りしマナ、有れよ炎ッ!」


山賊の手の平から炎の弾丸が放たれる。この男は魔術師だったのだ。
だがカステットはその火球を避けようともせず、正面から受け止めた。





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「温いわッ!」


が、火球はカステットに直撃し、一瞬激しく燃え上がったが、彼は構わず突撃してきた。



「ば、馬鹿なっ!?」


体内のマナを高める事で、呪文に抵抗を試みる事が出来るのは一般にも良く知られている。
だが、それは効果を薄めるだけで、焼け石に水の様なものだという風にブリトン男は認識していた。

だが、魔法の炎が目の前の男を焼いたのは一瞬だけで、服にも肌にも焦げ後ひとつ残ってなかった。


「ありえねえッ!100%のレジストなんてッ!?」

「小賢しいわッ!その程度の炎スキャンプにも劣るッ!」






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驚く魔術師に、カステットは走った勢いでその剛腕を彼の喉元に叩き付けた。


「うごはッ!?」


奇妙な悲鳴を上げて、魔術師はぶちかまされた反動で宙を一回転し、そのまま地面を転がった。


「こ・・・この野郎・・・」

「ほう」





G1_15-12.jpg


背後から絞り出される様な声を聞いて、カステットは感嘆の声を上げて振り返った。
しぶとい事に最初に倒したノルド人は転倒から回復し、顔を抑えながら剣を抜いて立っていた。


「かかってくるのか?」

「うるせェ!死ねーーーッ!」



山賊が剣を振り上げる。
いかにもチンピラ上がりといった風の型も何もない力任せの一撃だった。


「くだらん」


ノルド男の力量を見切ったカステットは、退屈そうな顔で
軽くその一撃をかわそうとしたその瞬間―――――





G1_15-13.jpg

身体がガクリと揺れ、全身から力が抜けた。


「何―――」


突然身体のバランスを崩したカステットは、剣筋を逸らして
剣の平らな部分で攻撃を受け、何とか致命傷は避けれたものの
吐き気のする様な脱力感が彼の身体を襲った。


極度の緊張状態下の持続に伴う通常以上のマジカの消耗―――
ター=ミーナが解き明かしたカステットの身体の枷が、再び彼に襲い掛かっていたのだ。


(こんな時にッ――――)


ふいに意識が急速に遠くなり、全身にみなぎっていた闘気が薄れていく。
たまらずカステットは膝を着いた。




G1_15-14.jpg

「あ?・・・おい、どうしたよ、さっきの勢いはァーッ?」


山賊たちも彼の異変に気付いたらしい。
優勢になったと見るや、彼らは足元でうずくまっているカステットを容赦なく蹴り飛ばした。
気付けば先程張り倒した魔術師も回復してカステットの方へ歩み寄って来ていた。


「何だか知らねえが、形勢逆転みたいだぜ」

「へへへ、なぶり殺しにしてやろうか」

「いや、コイツは何か危ねえ。一気にやっちまおう」

「ビビってんのか兄弟?」

「馬鹿を言うな。さっきファイアーボールをレジストした所を見ただろうが」

「・・・そうだな、さっさと始末して女を―――」


ノルドの血サビだらけの剣が振り上げられる。
脳天を叩き割るするその一撃が、まさにカステットに振り下ろされようとしたその時―――



















G1_15-15.jpg

強烈な衝撃が、カステットの頭上を通過した。


(・・・何だ?)


カステットには既にそれを認識する意識は残っていなかった。
ただ、ノルド男の頭に横から叩き付けられた暴風がそのまま彼を吹き飛ばし、木に叩き付け、
その頭蓋を粉砕したという結果だけがその場にいた者たちの視界に残った。


カステットはまどろむ意識を叱咤し、その暴風の正体を見上げる。


















G1_15-16.jpg

そこには、ただ銀色の波が風にたゆたう様に流れていた。


その圧倒的な暴力にとカステットが見とれたのと、魔術師が顔を恐怖に歪めて絶叫したのは同時だった。







G1_15-17.jpg

「ら・・・獣憑き<ライカンスロープ>!」


「――――っ!」


その言葉に、は、と息を飲む声が聞こえた後、
銀色の波が一際大きく広がった。

その様は、カステットには怒りを露にして身体を広げる肉食獣の様にも見えた。



「ひいいいいいっ!」





G1_15-18.jpg

男がその沈黙に耐え切れずに悲鳴を上げたのをきっかけに、銀色の獣が走る。
男を突き飛ばし、倒し伏せたのはまばたく様な時間の出来事だった。


(・・・速い!?)


その姿にはカステットでさえ目を見張る。
そして、その銀色から伸びた細い指先が、目の前の獲物の首筋に突き立てられようとしたその時―――



























「おねえ・・・ちゃん?」



























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その幼い言葉に、銀の獣の瞳にクッカマリアの意志が戻っていく。
しかし、その表情には笑顔はなく、ただぼうっとオデイラと呼んでいた少女の顔を見つめている。



「ひ、ひいいいいっ!」


クッカマリアの手からだらん、と力が抜けたと同時に、
山賊はみっともなく手足をバタつかせ、何とか身体を立ち上がらせて一目散に逃げていった。

だが、逃げる山賊を追う者は誰も居なかった。
彼女達は、目の前で起きた事を整理するので精一杯だったからだ。





G1_15-21.jpg


一匹のドレモラを挟んで、彼女達は均衡を保たざるを得なかった。

ひとつ間違えば、何かが壊れそうな予感を、それはひしひしと内包していた。



―――オデイラが震えている。



だから、クッカマリアはいつもの優しい声で口を開いた。





「オデイラ・・・違うの。私は・・・」

「っ!」









































G1_15-20.jpg








































G1_15-22.jpg

ざ、と森に吹いた風が獣の頬を撫で、そして――――




「――――そうだよね」





と、銀色の波から呟きがこぼれた。



















G1_15-23.jpg


(うぬ・・・は・・・)


踵を返して森の奥へ消えていく銀色の娘にカステットは問いかける。

だが、もはやその声も出ない。
カステットが意識を繋いでいられたのはそこまでだった。
視界は閉じ、世界から音が消え、臭いが消え、彼の意識は闇の底へ落ちていく。



そのまどろみの中で、
















「――――やっぱり、私にはムリだなぁ」








と、はにかむクッカマリアの声が遠くから聞こえた気がした。
















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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/06/21(月) 20:53:09|
  2. RP小説外伝-青鬼篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<更新凍結のお知らせ | ホーム | 【RP小説】青鬼は泣かない #14【外伝】>>

コメント

うわぁ、クッカマリアさん、ものすごい秘密餅でしたかぁ。
しかし、子供!怖がる必要ないのにー!ジタバタとかしてしまいました。
このまますれ違っちゃうんですか!二人!なんというハーレクイン的展開。ああージリジリするー。
先が読みたいー。
ということで先の展開を楽しみに待つことにいたします。
急展開に興奮して意味不明な感想を書き逃げして、お邪魔いたしました。
  1. 2010/06/21(月) 23:27:15 |
  2. URL |
  3. N #-
  4. [ 編集 ]

はじめまして。

いつも読み逃げ愛読させていただいてます。

続きが気になる~щ(゚Д゚`щ)
  1. 2010/06/22(火) 07:35:26 |
  2. URL |
  3. ベル #-
  4. [ 編集 ]

悪党の鏡のような人達に、
若干アックスボンバーぎみにラリアットがw
ライカンスロープ!最近お目にかかる事の少ない一族ですね(・∀・)
聖書や教会と切り離せない種族ゆえでしょうか。マリアさんなら素敵に受け入れられます。
尻尾もっふもふ♪
  1. 2010/06/22(火) 22:46:44 |
  2. URL |
  3. かにうま #3IP1WHPs
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>Nさん

ハーレクイン的かぁ・・・その発想はなかったですw
今回はクエストに沿ったお話でない分、意外な展開というのをやってみたかったので
ラストまでジリジリして頂けると幸いです(何)


>ベルさん

はじめまして。
いつも読んで頂いてるという事で、コメント頂けてとても嬉しいです。
いきなり更新ラッシュが始まったりピタリと止んだりとせわしないサイトですが、
これからもどうかよろしくお願いしますm(_ _)m



>かにうまさん

>ライカンスロープ
Ainhimを見慣れてる私たちからしてみれば「ケモミミなんてどってことねーよ」という話ですが(笑)
オブリではお目にかかれない病気ですが、過去作では結構色々あった様で。。。

>アックスボンバー

勢いでやった。MODの出来が良過ぎた。うpしてから気付いたが反省はして(ry

別にドレモラの格闘術がプロレスだという訳ではありません(笑)
ひたすらパワープレイの人なのでこういのもありかなと。

  1. 2010/06/22(火) 23:24:20 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:天気輪
天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
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