TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青鬼は泣かない #12【外伝】


G1_12-01.jpg


「これは修道院長、ご機嫌麗しゅう」


シグニーの顔を一目見るなり、壮年の男は恭しく頭を下げた。


「御機嫌よう、ブンドゥグさん。しばらくおいでになられなかったのでもう来られない物かと思っていましたが」

「そうおっしゃらずに。あなたの様な美しい方とお話できるのは幾つになっても楽しいものでしてな」

「それは、恐れいります」



シグニーも丁寧に礼を述べたが、そこには社交辞令以上の感情はなかった。
露骨に不快感を表さない辺りは長としての貫禄だろうか。










G1_7-08.jpg

「それで――例の件、考えては頂けましたでしょうか」

「何度も申し上げておりますが、此処は帝国教会から承った神聖なる土地です。
立ち退く気はありません」

「それももう過去の話ではないですか。
あとは管理人であるあなたの承諾さえあれば・・・」

「私にはその意思はありませんので」








G1_12-02.jpg

「何故ですか?こちらとしても満足して頂ける金額をご提示してある筈です。
これだけの金を教会に寄付すればあなたもこんな小さな孤児院で終わらずに済むのですよ?」


あくまでも拒否の姿勢を崩さないシグニーの態度に、ブンドゥグは両手を広げて大げさに驚いた。


「私はこの孤児院が気に入っておりますし、ここはこの地方で唯一の孤児院です。
子供たちを路頭にさ迷わせる訳には参りません」

「ですから、孤児たちについては心配無用とお話ししたではありませんか。
私はこの孤児院を取り潰した後により近代的な児童福祉施設を作ろうと
考えているのです」

「それでしたら、ブンドゥグ様の財力ならばこの場所でなくても結構かと思いますが」

「ここは帝都からも近くモンスターの生息域も少ない。この場所であれば都内よりも
より低コスト低価格でサービスを提供できるのです。民の救済を願う貴方達にとっても
悪い話ではないと思いますが」

「ご熱心な様ですが、ブンドゥグ様のお話は難しいお言葉が多いものでして」

「ははは、これは参りましたな」



商談スマイルを絶やさないブンドゥグであったが、のらりくらりとかわすシグニーの対応に
内心舌を打っていた。

「・・・ですが、最近はこの辺も物騒だそうですな?
何でも集落を荒らすならず者がうろついているとか」




G1_5-02.jpg

「・・・ええ」

「女子供ばかりの修道院では気苦労が多いのではないですかな?」

「そうですね。貴方がおっしゃる様にそれほど魅力的な土地ではないと思いますよ」

「なに、この平和なご時世、傭兵など幾らでも集められますからな。警備については心配無用ですよ」



ドンと胸を叩いてブンドゥグは言った。




G1_12-03.jpg

「それよりこの孤児院だ。衛兵はいるといっても現役を退いた怪我人が1人。
徒党を組んだ荒くれ連中を相手にするには少々骨ではないですかな?」

「お気遣いどうも。ですが、私どもで暮らしていく分には問題はないかと考えております」

「ほぉ、女だてらに気丈でいらっしゃる。いや失礼」



ブンドゥグは頭を下げながら、


「そういえば、ひとつ妙な噂を聞いたのですが」


と言っていかにもわざとらしい振る舞いで思い出した様に言った。



「噂・・・ですか」

「ええ。何でもこの孤児院がドレモラを飼っている、と」

「・・・存じ上げませんね」

「そうですか。まぁ噂ですからな」

「どういった噂でしょうか」

「この孤児院を襲った野盗がドレモラに追い払われた・・・と。
まぁよくよく考えれば荒唐無稽な話ではありますがね」

「確かに以前食客の方に野盗を撃退して頂きましたが、彼はダークエルフの眷属と聞いております。
何かの見間違いではないでしょうか」

「ほほう―――ダークエルフ、ですか」



それは珍しいお客様ですね、とブンドゥグはニヤリと笑った。


「何か?」

「いえ、ナインの僕たるあなた達が異教徒どもを匿うとは以外だったものでして」

「マーラの慈悲は万人に平等です。帝国もナインの信仰を推奨こそすれ
強制はしていなかったと思いますが?」

「いや失敬。ついつい帝都市民本位の考え方になっていけませんな」



さきの戦い以降、どうしても市民はディードラに関わる者には敏感でしてな。
ほっほっほ、とブンドゥグは中身のない笑い声を上げた。


「ところでその方は、どういったご身分の方なのですかな」

「さて、詮索はしておりませんので。やけにこだわられますね」





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「いやいや、聞いた話によればその方は片手で大人の男を空高く投げ飛ばす程の豪傑だとか。
やはり帝都市民としては気になってしまうのですよ。
―――まさに『ドレモラの様な』人間離れした力の持ち主だ、とね」







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(邪教・・・ミシックドーン狩り、か)


オブリビオン・クライシス以後、帝国は戦後も各地に潜伏していたミシックドーンの残党を
警戒し、彼らをさきの戦いの最大戦犯であるとして狩り出していた。
当時の恐怖を知る熱心なナインの信徒たちは喜んでその流れに協力した。ヒステリックなまでに。
時にはミシックドーンとは無関係なデイゴン信徒やほかのディードラ崇拝者、研究者までもが
捕獲の対象となり、多くの悲劇を生んでいる。


シグニーの知る限り、ブンドゥグはそこまで熱心なナイン信奉者ではない。
ただ、いつでも不穏分子として密告できる、と―――。

彼が手元に持っているカードをひけらかして見せたのだ。



「ドレモラはさきの戦いで全てオブリビオンに還りました。
ささいな人との違いで騒ぎ立てるのはあまり感心できませんね」

「そうですか。いや失礼。マーラの聖女様にぶしつけな事を申し上げました。
どうかお許しを」



そう言ってブンドゥグは再びうやうやしく頭を下げた。
下げつつ、シグニーの様子をうかがう。


(ふふ、焦っておるわ。やはり何かしらある様だな―――)


ブンドゥグは内心ほくそ笑む。

部下から聞いた正体不明の剣士(カステット)の外見から、
ブンドゥグは彼がディードラに何かしら関わる者ではないかと踏んでいた。

彼は別にディードラに精通している訳ではない。
だが、帝都市民のデイゴンに対する嫌悪感を商売に利用する方法はよく知っている。

青い肌、二本の角、それに尋常ではない怪力を持つ―――となれば、
真偽はどうあれ、衛兵にタレ込むには充分な不審者である。

もっともらしい情報だけでも充分であったが、今のシグニーの反応から『裏』も取れた。
これだけ揃えば衛兵たちを動かす事も容易ではない―――。





G1_12-06.jpg

「そういえば最近、武具の価格が下落しているそうで」

「は?」



と、突然シグニーはまったく違う話を切り出した。


「戦争が終わって職にあぶれた傭兵が質に入れた武具が市場に溢れかえっているとか。
確かブンドゥグさんの商いは武器が専門でしたわね?」

「えぇ。とんと売れない物でして、頭の悩ませ所ですわ」

「その割には土地を一つまるまるお買い上げなんて、随分羽振りがよろしいですね」

「え、えぇ、ワシも武器に固執せずにビジネスを広げようと思ってる所でして。
いわゆる先行投資ってヤツですな」

「流石、大商人様ですわ。帝都では工面に困ってスクゥーマの取引や人身売買に手を出して
お縄になる商人の方も少なくないとか。ご立派な心がけだと思いますわ」


















G1_12-07.jpg

そう言ってシグニーは上品に笑った。

















G1_12-08.jpg


(この女・・・!)


ブンドゥグは内心舌を巻いた。
彼と同じ様に、シグニーもまた手持ちのカードを提示して見せたのだ。


(・・・だが、どこまで知っているのだ?)


ブンドゥグは注意深く彼女の表情を観察するが、彼女はただ静かに微笑んでいるばかりだ。
その様子からは、ただのカマかけなのか、核心を握っているのかはうかがい知る事は出来ない。


「お互い、このご時世では大変かと思われますが―――」


ブンドゥグの内心の動揺を見透かす様に、シグニーは言った。


「出来れば、今後とも良い関係でありたいものですね」


そちらがその気なら手札を切る、と。
―――ブンドゥグには彼女がそう言っている様にも聞こえた。



「・・・残念ですが、そろそろ時間の様ですな。今日はこの辺で」

「そうですか」

「また参ります」

「何度来られましても、気持ちは変わりませんが」

「いえ、商売と一緒だと礼拝も欠かさずに済みますからな」

「良いお心がけですが、祈る気持ちがあれば充分でしてよ」



シグニーはにっこりと、聖女の微笑みをたたえたまま言った。


「ナインは、いつでも貴方を見守っていますからね」


その一言に、ブンドゥグは背中に冷たい物が駆け抜けるのを感じた。
















***



















G1_12-09.jpg

「ブンドゥグさん!話はどうだったんですか?」

「・・・あの女、聖女どころかとんでもない女狐だ。
その上ワシらの正体にも勘付いてるかもしれん」



「ええッ!
じゃあここを児童福祉施設にしようってのは実はタテマエで、
戦後急激に増加した孤児どもを集めて人身売買を目的とした収容所を
作ろうっていう俺達の目論見が見抜かれてるって訳ですかい!?」


「だからデカイ声でいちいち全部喋るなと言っておろう!」


相変わらず饒舌すぎるハイエルフ男にブンドゥグは怒鳴りつけた。


「・・・正直このワシをしてさえ奴がどこまでこちらの事を掴んでいるのかは読み切れなんだ。
伊達に女手だけでやっている訳ではないという事か」

「はぁ、頭の切れる尼さんですな」

「切れすぎる、な。・・・少々危険かもしれん」

「いっその事、野郎共をけしかけますか」

「いや、それは最後の手段だ。簡単にワイルドカードを切ってはならんよ。
向こうもこちらも今は切り札は1対1。だが、突付けば弱みは必ず出てくる」

「はぁ」

「キナくさい臭いがぷんぷんするのだよ、ここは。手札を増やす機会は必ずある」







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と、悪党2人がささやき合っていると、帝都の方から彼の部下であるエルフの2人組が
息を切らせて走ってきた。


「ボス!ボス大変ですぜッ!」

「ブンドゥグさんと呼ばんかバカヤロウッ!俺達は盗賊じゃねえんだぞ!」

「よい。どうやら尾行の収穫があった様だな?」

「へ、へい。それが―――」



息を詰まらせながらダークエルフの男がブンドゥグに耳打ちすると、
彼はゆっくりと目を見開き、そして部下を見た。


「本当なのか」

「へぇ。この耳で聞いたんで間違いありませんでさぁ」

「ホッホッホ。そうかそうか・・・」

「どうしたんです、ブンドゥグさん?」

「どうやらあの尼が言う通り、ナインは何時でも我らを見て下さってる様だな」



突然笑い出した主に困惑しながらインテリエルフ男が尋ねると、
ブンドゥグは猛禽を思わせる眼光を発しながらニヤリと笑った。




G1_12-11.jpg


「言っただろう。手札を増やす機会は必ずあるとな」






























注釈




●帝国教会から承った神聖なる土地~

政府が国教の普及のため教会の設立を奨励し、活動の為にやってきた
僧侶たちに土地を提供していた帝国建国当時の政策の名残り。

各主要都市に大教会が建つ様になった近年では地方の教会に足を運ぶ人々も減ったため
あまり重要視されなくなってきており、現在は法的な保護は行われてはいない。

その為、売り家に出されてブンドゥグの様な商人が店舗を出す為に買い取ったり
ウェイノン修道院のようにブレイドなどの諜報機関が隠れ蓑として使っている
ケースも多く存在する・・・という妄想。


ちなみにこの孤児院はブレイドとは無関係です。

ブレイドは一線で活動出来なくなった隊員のフォローを徹底しており、
(職にあぶれて機密を漏らされると困るから)
この孤児院もそんな隊員達の派遣先のひとつとなっています。

グンダさんが守衛をやってるのは引退するか別の部署へ移るまでの
繋ぎといった所で、割とバイトみたいな感覚です。



●謎のスニーキングおじさん

どうやらTamriel Travellaersの通り道がfuta prioryと被っているらしく、
日中、壁ぞいをウロウロしてる姿をよく見かけます。

おまけに盗品系も扱ってくれるバイヤーのため常にスニーキングで移動してるんですが、
futa priory導入下だと庭に迷い込んだ変質者にしか見えない罠。



●武器価格の下落

オブリビオン・クライシスの勃発と皇帝の暗殺で帝国軍の足並みが乱れまくっていた当時、
人々は自衛のためにこぞって武器を買い求める様になったため需要が高騰しました。

これにより一時期は行商人から大富豪にまでのしあがる者が出てくる程のバブリーな
状況だったのですが、終戦の反動でブームは急速に廃れ、武具業界は一気に不景気になったという世情。

ちなみにブンドゥグさんもバブル組。


ただ、最近は職にあぶれた連中が盗賊や密売人などに鞍替えして微妙に治安が悪くなり始めたので
賢い商人はタイミングをうかがってたりする。










おまけ ~きょうのアンタここに居ちゃダメでしょ~






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「言っただろう。手札を増やす機会は必ずあるとな」

「ほう、いい身体してるねぇ!」

「すいません、通行人入ってきたのでカットでーす」





G1_12-12.jpg


「貴方の脳みそ分けて下さい」

「・・・何それ」

「最近やんでれが流行ってると聞いて教わってきました」

「それはもう流行過ぎたしその人はヤンデレじゃなくて病んでるだけだから。
なんでこんな所にいるのよ」


「止めないで下さい。ヒロインとして重要なクエストの最中です」

「クエスト?」

「ヒロインは年に一度主人公にチョコレートを供給しなければいけないと聞きました」

「・・・まだやってたのか」

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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/06/13(日) 20:44:08|
  2. RP小説外伝-青鬼篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

地上げ屋さん、悪そうっすね~~(;´Д`)
修道院の娘達の声が可愛いです♪
ろりこんだ~ってw
そしてヒロインとして重要なクエストの方を邪魔してはいけないです。
商人達も一攫千金を狙っている世界観はありますよね~。
街のショップでも細かい部分で利益を上げようとしている印象は、ヴァニラで遊んでいても痛感します。
  1. 2010/06/16(水) 01:19:53 |
  2. URL |
  3. かにうま #3IP1WHPs
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>かにうまさん

娘さん達は実際にはスカイリムがどうとか頭よさげな話をよくしています(笑)
最初、この商人さんも「行商で孤児院に立ち寄っている」という妄想補正をする気だったんですが
中庭をスニーキングで通過する様はどう見ても変質者ですorz

>ブンドゥグ
色々ポーズ取らせてたらなんか想像以上に悪い顔になりました(^^;
ICの商人はみんなスキルが高くて何も買えずにスタートする事が多いですねorz
よくよく考えると10Gで一日食べられる世界らしいのでプレイヤーの金の使い方が
豪胆なのかもしれませんがw


>チョコレートの人

MPC陣があまりに撮影のジャマをするのでちょくちょく出してますが、
本来はチョコなんて言ってる場合じゃないレベルの大冒険の真っ最中です。
ただ、『あの島』の狂気にあてられたせいかこのエキドナは大分初期の性格に戻ってますが(笑)

  1. 2010/06/16(水) 23:06:21 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:天気輪
天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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