TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青鬼は泣かない #11【外伝】




G1_11-01.jpg

「け・・・剣が」


ようやく、絞り出したオークの第一声がそれだった。


オークが今まさに振り下ろさんと背中から引き抜いた大剣は、
抜いた途端に背負っていた時よりも随分小さくなってしまった。
否―――折られたのだ。


「何やら外が騒がしいと思えば、感心しないな」


だが、それはカステットが放った技ではなかった。












G1_11-02.jpg

「剣は戦場で振るうものだよ。街中で使うのは感心しないな」


「ぷ、プリンスっ!」



余程名のある戦士なのだろう。
声の主を見て、オークは驚愕した。






G1_11-03.jpg

男は異様に青白い肌をしているものの、彼と同じオークの様だった。
だが、カステットに絡んできたオークとは違い、どこか知性的な顔つきと
歴戦の戦士が放つ特有の風格を兼ね備えていた。


「立場上みだりに剣を振るえる身ではないが、
これ以上ここで狼藉を働くなら私もアリーナの闘士として無視できないが?」

「しっ、失礼しましたっ!」



形勢不利と見るや、オークは鍔から上がなくなった剣を放り出して脱兎のごとく逃げていった。







G1_11-04.jpg

「怪我はなかったかね、異国の方」

「まだ何もしておらぬ」

「そうか。シロディールは平和になったが、まだまだ先程の様な輩も多くてな。
市民に代わって、非礼をお詫びする」



そういって白いオークはカステットに恭しく頭を下げた。


「どうでもよい。それよりうぬは何者だ」

「おお、これは失礼した。
私はこのアリーナの闘士。人からはグレイ・プリンスと呼ばれている」

「アリーナ・・・」






G1_11-05.jpg

言われてカステットが見上げると、そこには確かに何かを囲うように建てられた巨大な外壁がそびえていた。
その中からは怒号とも歓声ともつかぬ人々の熱狂的な叫び声が聞こえてくる。
どうやらアリーナとは、闘技場のことを指すらしい。


「剣闘か」

「得物は選ばない。選手は剣でも斧でも魔法でも使う事が出来る」

「ほう・・・」



定命の者にも命のやりとりを楽しむ嗜好があったとは。
外壁の外からでも感じられる戦場の熱気に、カステットは奇妙な懐かしさを覚えた。


「競技に興味がおありか?」


その態度に脈があると思ったのか、グレイ・プリンスが嬉しそうに尋ねた。


「相当の使い手とお見受けするが、もし良ければ闘士に推薦してもいいが」

「いや・・・連れ合いに目立つなと言われたのでな。それより―――我はうぬに興味があるな」

「私に?」



カステットの真意を測りかねて、グレイプリンスが聞いた。


「今、『剣で剣を斬った』だろう。この国の民であれほどの技を見たのは初めてだ」

「ははは、光栄だな」

「もう一度、やって見せてはくれぬか」

「そんなに難しい事ではないさ。タイミングと経験さえあれば―――」

「講釈はいらぬ」







G1_11-06.jpg

「もう一度見せてくれと、いっておるのだ」

「・・・私はアリーナの闘士だ。そうそうみだりに剣を抜けるものではない」

「狼藉なら仕方ないのだろう?」

「・・・どうやら私は危険な男を助けてしまったらしいな」



言いながら、二人は仁王立ちのままずっと睨み合っていた。



(こいつ・・・打ちかかれない・・・!?)


グレイ・プリンスは目の前の男が、ただ立っているだけだというのに全く隙がない事に驚嘆した。
こちらが剣を抜く事さえ許さない強烈なプレッシャーを感じる。
今まで彼が倒してきたどんな闘士とも違う、不気味な雰囲気を男は持っていた。


(ほう・・・楽しませてくれる)


一方、カステットはこれだけの殺気を叩きつけても冷静に機をうかがうプリンスの力量に感心する。
むしろこの突然の強敵の出現に歓喜すら感じていた。

だが、すぐには飛び込もうとはしない。
どうやらカステットは彼と同格かそれ以上の相手としてプリンスに認知されたらしい。
彼の視線の動きや筋肉の緊張から、初太刀から必殺の一撃を持ってくることをカステットは看破していた。


(どうやらこれまでの凡骨とは違うらしい)


カステットもまた、プリンスが数多の仕合いを勝利し続けてきた猛者である事を見抜いていた。





G1_11-07.jpg


もしも空気が固体であれば、ヒビが入りそうなほど張り詰めた緊張感が2人を包む。
それは技を極めた達人同士の間でのみ起こる、高度な前哨戦だった。


(だが、このままではつまらぬな)


カステットの気が少し揺らいだ。
極上の獲物を前にしてただ睨み合いを続けるのは彼の趣味ではない。
闘争に対する純粋な飢えが、達人としての理性を上回った。


(来るのかッ・・・!)


その気配に、プリンスが敏感に反応した。
先の先を取らんと、彼が腰のモノに手をかけた瞬間――――


















まさに爆発しようとしていたカステットの殺気が、急速にしぼんだ。



「・・・水を差されたな」

「!?」








カステットが顎で指した方向をプリンスが見ると、修道服を着た女性がこちらに歩いてくるのが見えた。


「あ、いたいたー」


修道女はこちらの姿を認めると、嬉しそうに手を振った。




G1_11-08.jpg

「興が失せた。またの機会としよう」

「・・・血に飢えてる訳ではないなら、次はアリーナの舞台に来て欲しいものだ」

「生憎だが、他人にお膳立てされた戦場など興味がない。
再びうぬと剣を交えるまでに名前だけは立派な屑どもを幾度も屠らねばならんのだろう?」

「・・・」

「いい運動であった」



カステットはそれだけ言い残して、クッカマリアの下へ歩み去って行った。






G1_11-09.jpg

「・・・何だったんだ、あの男は」


呟きながら、グレイプリンスは己の全身の毛穴から
どっと汗が噴き出している事に気が付いた。


(・・・これではまるで初試合後に震えが止まらぬ新米の様だ)


プリンスの口から乾いた笑いがこぼれる。
命拾いした、と心からそう思う。
最強の看板を掲げる闘技場のチャンプがたかが乱闘騒ぎで倒れる訳にはいかなかった。

とすれば、あの聖女が神が遣わした助け舟だったのかもしれない。
ナインに宗旨代えするべきだろうか。


(これが本当に舞台の上だったら、果たして倒れていたのはどちらだっただろうな)


不敗神話を誇る闘技場のプリンスは、戦いで熱くなった頭を落ち着けながらそんな事を思った。


「それにしても・・・」


青い肌の闘鬼とナインの巫女。




G1_11-10.jpg

「奇妙な取り合わせだな」

















***

















G1_11-11.jpg

「さっきの方、ひょっとしてグレイ・プリンスじゃないですか?」

「知っておるのか?」

「噂だけは。全戦無敗のアリーナのチャンピオンだって」

「・・・成る程」



カステットは納得する。

あの剣士は恐らく生来闘技場で戦い続けてきた生粋のピットファイターなのだろう。
その為か妙にお行儀のいい青臭さが鼻についたが、日夜殺し合いの中で磨いてきた
その技とその身から溢れ出して見える戦士としての格は確かなものだった。

あのまま立ち会えば果たしてどちらが勝利していたであろうか。
定命の者にも猛者はいるという事か―――。



「何か良い事あったんですか?」


カステットは相変わらず無表情だったが、その口の端が小さく笑みを作っている事に
クッカマリアは目ざとく気付いた。


「そうだな・・・そうやも知れぬ」


この世界には在るのだ。『あの男』の他にも先程の剣闘士の様な
まだ見ぬ強敵が。まだ見ぬ極みが。




「む―――」


と、その時、カステットの視界の中で天地が逆転した。










G1_11-12.jpg

「カステットさん!?」


クッカマリアの声を遠く聞きながら、カステットはそのまま気を失った。
















注釈




●け・・・剣が

画像加工です。MODの仕業ではないのでご注意を。
折れた剣ってどうやって検索すりゃいいんでしょうか。Break Sword?
まぁそれ以前にSS撮影位しか使い道ないし実在するかが謎ですが。




●グレイ・プリンス

本名アグロナック=グロ=マロッグ。
ハーフオーク独特の肌の色から「グレイ・プリンス」の愛称で呼ばれている
帝都闘技場現チャンピオン。

デビュー以来全戦無敗を誇り、ここ数年はあまりの強さのため挑戦者が現れない程の
猛者であり、アリーナのファンの間ではまさに生きる伝説として語られてる。

・・・が、彼の関連クエストをやると悲劇が・・・というか肩透かしすぎる展開というか、
ひどい展開が待っているのは皆さんご存知の通り。

ただ実際の彼はプレイヤーLv+10固定、更に

・走力+100
・運動+100
・剣撃+100
・魔法耐性+20%
・武器耐性+20%

という常時発動能力「Arena Agronak's Ability」を保有している為、
序盤ではけっこうな強敵だったりします。

とは言え、武器は剣1本のみで特殊な攻撃手段は持っていないので
魔法やエンチャントが揃えられる様になる後半では・・・



そんな色々と切ない王子様なので、たまにはチャンピオンらしい所を・・・
と思い登場となりました。

まぁ、この後の出番は一切無いんですけどね。



●あのチェストは・・・

PC版ではデフォルトです<嘘>
片方は入れるだけ入れといて着せるキャラがいないという罠。


●他人にお膳立てされた戦場など~

やっとエンディングだ~と思ったら突然乱入してきて「我は全てを極めし者・・・」
とか言って出てくるおいしい所だけ欲しがるタイプ。




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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/06/08(火) 00:38:48|
  2. RP小説外伝-青鬼篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<【RP小説】青鬼は泣かない #12【外伝】 | ホーム | 【RP小説】青鬼は泣かない #10【外伝】>>

コメント

シロディールを震撼させた闘鬼と伝説のチャンピオン、あわや一騎討ちか!
……とはなりませんでしたね、ほっとしたような残念なような。
グレイ・プリンスはあの不憫さとオークらしからぬジェントルマンさで好きなVanillaキャラであります。
まさかの(チャンピオンらしい)登場ちょっと嬉しかったり。

クッカマリア嬢もカステット様も健康上に一抹の不安あり、みたいですね。
ヒャッハー三下さんたちの動きも気になるところです。
  1. 2010/06/09(水) 22:57:40 |
  2. URL |
  3. ウロ #z.VEhabY
  4. [ 編集 ]

プリンス様は、もっと評価されていいと勝手に思ってます(;´Д`)
そういえばHookswordsのような折れ曲がった剣のMODは多く見ますが、バッキリ折れているのは見ないですね~。
ボスより強い極めし者シリーズはスクエニの(ry
  1. 2010/06/10(木) 00:13:14 |
  2. URL |
  3. かにうま #3IP1WHPs
  4. [ 編集 ]

Gray Princeはアリーナに初めて来た時から歓迎してくれる良い人で、彼のそんな礼儀正しいところも気に入っています。

でもVanillaの状態だとレベルが低くても倒せてしまってちょっとあっけなかったので、
CSでレベル差をさらに大きくして、少量の回復エンチャント装備を一つだけありにした状態(魔法は無し)で戦ったりしていました。
グランドチャンピオンなら今回みたいに生半可な作りの剣を折ったり出来てもおかしくなさそうな気がします。

Broken Swordというクエストアイテムがある事を知ってゲーム内で確認してみたら、
折れているわけではなくて見た目は至って普通のものでした(笑)
さすがに折れた剣の使い道なんて普通考えないのでしょうけど、
でもちょっと残念に思った自分もいたり。
  1. 2010/06/10(木) 20:44:21 |
  2. URL |
  3. Kirsche #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>ウロさん

あのままバトルに突入したらカス公が止まりそうにないのでやめました(笑)


>チャンピオンらしい登場
なんとなく、ケンカ屋というより『選手』の雰囲気を出したいと思い
あんなキャラになりました。
地下格闘技場よりK-1ファイターとかが似合いそうなそんなイメージです。


>かにうまさん

あの事実を知った後だと素直に闘技場クエをプレイできませんね・・・
ルシエンさんまで来ちゃうし。
せめて在りし日のプリンスを・・・という事でご登場願いました。

実際、Faction絡みのクエでは一番救いの無いラスボスの様な気がします。
全戦無敗の謎多きチャンプとか設定はかっこいいのに。

Hookswords、見てみましたが面白い武器ですね。
馬上の人間に引っ掛けて引きずり下ろしたりとかそういう武器なんでしょか。


>Kirscheさん

>剣を折る
一目で「スゴイ奴だ」と解る演出を、という事で。
まがりなりにも剣闘士のチャンプなので、剣術スキル100を活かして
本編でも武器弾きとか麻痺とかのパワーアタックを巧みに使う様なキャラだったら
良かったのになー・・・とか、妄想は尽きません。
シナリオ的にも能力的にも不遇だから印象に残るキャラなのかも知れませんが。


>折れた剣

プレイする分には誰得ですからね(笑)
ただ、SSに凝りだすと色んな小物が欲しくなります。
ミニチュアにハマる人の気分ってこんな感じでしょうか。

  1. 2010/06/10(木) 21:57:57 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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