TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【RP小説】青鬼は泣かない #10【外伝】




「・・・引くも進むも出来ぬとはな」


カステットが珍しく気落ちした声を出した。


診察から数十分後、クッカマリアの薬剤の師にしてディードリック研究者である
魔術師ター=ミーナによってカステットの現状を取り囲む謎が次々と明らかになったが、
そのどれもが吉報という訳ではなかった。

まず一つは、デッドランドへの帰還する方法は無いに等しいという事だ。

現状ではタムリエルとオブリビオンの間にドラゴンファイアと呼ばれる
アカトシュ神の結界がある以上、アクセスは困難であった。


「まぁ、先帝暗殺以前にもオブリビオン界へ渡った魔術師の記録は幾つか残ってるけどね、
どうやってやったもんか私には見等もつかないわね」



とはター=ミーナの弁だ。











G1_10-01.jpg

「大丈夫ですか?」


カステットの心中を察しながら、クッカマリアは言った。
彼は感情が表情に出ない男だったが、何故か彼女はこうした空気に敏感であった。


「ひとつ情報が増えただけだ。問題は無い」


無表情を装ってカステットは答えるが、クッカマリアに安堵の色が戻る様子は無かった。


「それより、うぬは何かの病気なのか?」


カステットは話題を変えた。
彼が戸口に立っているのは、クッカマリアの診察をするから出て行けと
ター=ミーナに追い立てられた為である。


「いえ、その、そんなに大した事ないですから・・・」

「・・・?」

「ちょっとした持病です。すぐに終わりますからそこで待ってて下さい」

「いや、それならば少しその辺を見回ってこよう」

「お気遣いなさらずに―――」

「少し身体を動かしたい気分なのだ」

「・・・そうですか。あんまり目立っちゃダメですよ」

「善処する」

















***















G1_10-02.jpg

再びインペリアルシティの石畳を歩く。

白い高層建築や木々の隙間からは春の柔らかい日差しが降り注ぎ、
人々は和やかに午後の陽気を楽しんでいた。

ただ1人を除いては。


(・・・)


カステットにはどうにも馴染めない風景だった。
この先、ずっと牙を腐らせたままこの世界で過ごさねばならないのだろうか。

正直なところ、故郷へ戻れない事自体はカステットにとってはどうでも良い事だった。
永遠を生きる彼らにとって、生活する場所など瑣末な事だ。


それよりもカステットにとって大事であったのは―――『彼』が今はシロディールを経ち、
もうこの地には居ないという事だった。


「オブリビオン・クライシスの後、急に姿を消したそうよ。今頃どこで何をしているやら」


ター=ミーナは興味なさそうにそう言ったが。


(我がニルンに降りたのは、もしや運命ではないかとも思っておったが)


カステットにとってはデッドランドへ戻る事よりも重要な問題だった。

あの男は必ずドラゴンファイアを復活させる。そうすればもう一度刃を交える事はないだろう。

そう覚悟していただけに、『彼』の世界であるこのタムリエルで目覚めた時、カステットは
平和なこの世界に退屈しながらも、再び『彼』と刃を交える好機を得た事に密かに期待も
寄せていたのだが。


彼にとって一番の悩み事は―――『戦うべき相手』の不在であった。


と、考え事をしながら歩いていると、誰かが肩にぶつかってきた。






G1_10-03.jpg

「おい、オッサン、こんな広い道で人にぶつかるたぁどういう了見だ!」


声の主を見ると、頭の悪そうなオークが鼻をひくつかせながらこちらを睨んでいた。


「気付かなかったものでな」


カステットが素直に答えると、オークの鼻がますます忙しく動いた。


「あぁ!?ナメてんのかコラァ!」


オークは顔を紅潮させ、更に語気を強めた。
そこでカステットはふむ、と気付く。




G1_10-04.jpg

「喧嘩を売っているのか」

「あァあン!そりゃあこっちの台詞だ馬鹿にしてっとすったらそぞぉ!?」

「そうか」



最後は何を言っているのか解らなかったが、カステットはオークの言葉を理解した。
そして、言った。


「良かろう。身体を動かしたい気分だったのだ」






G1_10-05.jpg

「・・・あ?」


不幸だった。

















***

















G1_10-06.jpg

「経過は順調みたいね。このまま様子を見ましょうか。
定期的な薬の服用と分量だけは守ってね。かえって毒だから」

「ありがとうございます」

「あと強いストレスになる様な行動も控える事」

「はい」

「・・・返事だけはいいんだから」

「え?」



ター=ミーナのため息に、クッカマリアはキョトンとした。




「あのデカブツよ。トロルの面倒みてるって聞いた時はアタシもひっくり返ったけど、
遂にドレモラまで拾ってくるとは思わなかったわ」

「カステットさんはいい人ですよ。マーラも施すべき方だときっと仰ると思います」

「アンタはダメ男に引っかかって最後は無理心中させられちゃうタイプよね」

「え?」

「何でもないわ」




相手は前大戦でシロディールを荒廃させた軍団の一員だという事を解っているのだろうか。
クッカマリアの純真さに、ター=ミーナは少しため息をついた。



「・・・ナインの教えは人を縛るものではなく、幸せにするものだってシグニーは言ってなかったかしら?」

「教えの事もありますけど・・・何だか見てられなくて」

「え?」

「はじめてカステットさんを見付けた時・・・寂しそうに見えたんです。
何だか世界に1人ぼっちみたいな気がして」

「まぁ、ホントはタムリエルにいちゃいけない奴だからねぇ――」



ター=ミーナはそう言いかけて、口をつぐんだ。


「・・・そうかも知れませんね。居るだけで人を恐怖させる存在は、居てはいけないのかも」

「ごめんなさい、シスター、そう言うつもりは無かったのよ」




良いんです、と言いながらクッカマリアはフードを被り直した。




G1_10-07.jpg

「私がこうして元気に生きていけるのは先生のお陰ですから。
けれど―――だからこそ守りたいって思うのは私の自己満足でしょうか」



いつもの笑顔で、クッカマリア朗らかに笑った。












































































G1_10-08.jpg












































































注釈




●ドラゴンファイアの結界


シロディール皇帝・セプティム一門が先祖代々守ってきた聖なる炎。
その結界には九大神のひとり、アカトシュの力が宿っており、タムリエルに災いを為す
外敵の侵入を弾き返す力を持つ。

ドラゴンファイアは代々皇帝家によって守られてきたが、21代皇帝ウリエルⅦ世とその息子達が
ミシックドーンに暗殺され、セプティムの血が絶えたことから消滅、後に
「オブリビオン・クライシス」と呼ばれる定命の者とデイゴンの軍勢との大戦のきっかけとなった。

大戦終結間際、ウリエルの隠し子であったマーティン・セプティムによる
「アミュレット・オブ・キング」の発動によりドラゴンファイアは再生し、デイゴンの侵略を跳ね除けた。

・・・とはいえ、ゲーム中を見ている限りではメインクエ終了後もデイドラの祠の機能は健在だし、
うっかり狂気の島への扉が開いちゃってたりするしでどれだけの抑止力があるかは疑問だったり。

SI冒頭での某執事の発言を見る限りでは、「侵略じゃなければおk」というのが
真相なのかなと思っているのですが。



●今頃どこで何をしているやら


公式記録においては、「大戦終了後、シロディールの竜騎士の称号を受け取った後
有史以来、人々の前に現れた英雄達と同じ様にいずこかへと颯爽と姿を消した」とされている。

とあるブレイド隊員の手記によれば、英雄は叙勲式を蹴って竜騎士の称号と共に与えられる筈だった
『竜の鎧』のみを持ち逃げし、彼を皇帝に擁立して帝国の実権を握ろうとしていたオカトー大議長を
嘲笑うかの様に慌しくシロディールから飛び出していったとされている。

ひどい救国の勇者もいたものである。





●すったらそぞぉ!!


言葉自体に特に意味はない。
音自体に相手を威嚇する効果があり、意味が無い分相手に敵意を伝える事が出来る
オーク族特有の呪文。

現代においてはヤクザやヤンキーなどと呼ばれる種族にこの技が伝えられている。
ヤンキーは時代の変遷と共に絶滅の一途を辿っていたが、最近は
「ヤンキーデレ」という新ジャンルが開拓され、一部で復活の兆しを見せている。




●人を縛るものではなく、幸せにするものだ


シロディールの人々にとって信仰とは、何に祈るかではなくどの神の恩恵を受けるかに過ぎない。
神が実際に存在するTES世界ならではの文化だと思います。

ただ、実際にナインの恩恵を得られる機会というのがゲーム中ではあんまり無いのが寂しいですが・・・。
帝国領でもデイドラ信仰が未だ根強いのはこの辺りの理由からでしょうか。


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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2010/06/05(土) 23:01:48|
  2. RP小説外伝-青鬼篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

こんばんわ~♪
いちゃもんオークさんに早くも死兆星が輝きはじめているようですw
あと、マリアさん!フードかぶる前にこっち見て~~!と思ってしまったり。

結界について、いわゆる民事不介入っぽい設定があったりするあたり、ちょっと楽しくなってきますw
悪を憎んで人を憎まず!
  1. 2010/06/05(土) 23:56:07 |
  2. URL |
  3. かにうま #3IP1WHPs
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>かにうまさん

こんばんわ。
さりげなくこのオークさんも既存のNPCをコピーした自作キャラだったりします。
プロットには「100メートル先から見てもわるそうなオーク」という殴り書きが。
今回の悪役キャラはヒャッハーしすぎな気がします。頭悪いナァ。

シグニー院長もそうですが、孤児院組はフードや眼帯といった小物のあるなしで
大分顔が変わるなぁと撮影中にしみじみ思いました。
本編ではハプニングでも無い限り外れる事はなさそうですが。


>ドラゴンファイア

ザルなんじゃね?というのは言ってはいけないお約束。
アカトシュ自体も謎の多い存在ですし、ひょっとしたらTES5までおあずけの
謎なのかもしれませんね。
  1. 2010/06/06(日) 21:15:43 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

クッカマリアさんの髪はサラサラのロングヘアーだったんですね~♪
彼女といい、有名なRuined-Tail君といい、
普段から頭にフードをかぶっている姿に慣れていると
それを外した時に受けるインパクトはまた大きく感じますね。

毎度の事ながら考察が非常に興味深く、
毎回「なるほど~」「確かにそういう考えも出来るなぁ」
と頷きながら読ませて頂いております。

Akatoshの事もそうですが、考える視点次第では
「じゃあこれはどうなるの?」という少し曖昧な部分もちらほら出てきますが、
解釈の自由度もまたこのゲームの醍醐味の一つなのかもしれないですね~。

次の作品への伏線を張る為なのか、
あえて曖昧なままにしてプレイヤーにその解釈を委ねているのか、
どちらにしてもTESシリーズは本当に奥が深いですよね。

そして続きがますます気になってきたのであります。カステット殿ー!もどってきてー!
  1. 2010/06/06(日) 21:52:01 |
  2. URL |
  3. Kirsche #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>Kirscheさん

だんだん中二病妄想垂れ流しの展開になってきましたが、
最近、どこまでが自分の創作だったか忘れるという弊害が出てきました(ーー;

ゲーム中だと何でもない会話の端で重大な真相がポロッと出てきたりするので
「あれ、ここは捏造して良かったっけ?」と内心ビクビクしながら書いてます(笑)

真実はいつもひとつかふたつ!という事でゆるく見ていただければ幸い。

  1. 2010/06/06(日) 22:41:10 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:天気輪
天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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