TES4-輝輪酸紀行

PCゲーム「oblivion」のRP小説とMOD解説感想などなど。

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【プレイ日記117】 素直に弱さを見せる事さえ出来ずにいた不器用な 【Imperial Dragon Armor #5】

「また一人になってしまった…ですか、今考えているのは」


俺の心を見透かした様に、エキドナが背後でぽつりと言った。

いや。
「様に」ではないか。こいつが魔術師である事をすっかり忘れていた。


「陛下が居ないのは、そんなに辛い事ですか?」

「だったら、何だよ」

「・・・ミーナ女史、よく解りました。そういう事なのですね」

「・・・何言ってんだ、お前?」



そう言って俺が振り向きかけた刹那―――





117-01

鈍い痛みと共に、俺の身体が宙を舞った。
















バシャンと、派手な音がインペリアル港に響いた。

シロディールが比較的温暖な土地とはいえ、今は12月。
前方向から容赦なく責め立てる海の冷たさに、俺は必死で水を蹴った。






117-02

「ぷはッ!何しやがんだ!冷てぇじゃねえかっ――――!?」


凍える身体に喝を入れながら、俺は船の上から見上げるエキドナを怒鳴りつけた・・・つもりだったが。
奴は更にとんでもない行動に出たのだった。





117-03

どぼん、と再び海面に水しぶきが立ち上がる。
勢いよく海に飛び込んだエキドナは、どこまで沈んでいったのか中々浮かんでこなかった。


「・・・おい?」


聞こえたのか感じ取ったのか、俺が声をかけると、暗い水面からエキドナがゆっくり浮かび上がってくるのが見えた。

が、暗い夜の海でもその姿が視認出来る所まで浮上してくると、何故か水の中に潜ったまま、
水の中からじっと俺の顔を見ていた。


「・・・入水心中でもしたいのかお前は。さっさと上がってこい」







俺がもう一度声をかけると、エキドナはザプン、と控えめな音を立てて水面に顔を出した。
そして、もう一度俺を見てから、紫色になった唇を震わせて、こう言った。




117-04

「・・・確かに寒いです」

「当たり前だ」

「マジェラが陛下を失った辛さを、私は理解できません」

「うん?」

「ですが、私もあなたと同じ様に『冷たい』と感じる事は出来ます」

「・・・」

「ミーナ女史の言葉がようやく解りました。
あなたが苦しんでいる時は私も苦しいのです」



そう、はっきりと言ったエキドナに俺は息を呑んだ。
いつも通りの無表情ではあったものの、奴がここまで露骨に感情を露にする事など今まで無かったのだから。















***

















117-05

「マジェラ、私は壊れてるのでしょうか」

魔法でおこした火で服を乾かしながら、エキドナは言った。


「あん?」

「MPCが、主を支えるどころか・・・」



自分の悩みを吐露するなど・・・とでも、言いたかったのだろうか。


「・・・まぁ、そういう奴もいるんじゃないのか」


何となく聞きたくなくて、俺はそう誤魔化してエキドナが言葉を続けるのを遮った。


だが、私は彼女たちに希望を与えなければならない。
私が出来うる最低限のこと―――。




『エキドナ』を作り出したあの魔術師の事を思い出す。

彼は契約者の奴隷である「MPC」という鎖から彼女を解き放てなかった代わりに、
その他の可能な限りの「条件付け」、いわゆる精神支配を取っ払った。

その代償なのか。
彼女は常に俺の――いちいち言うのも照れ臭いが――冷静かつ頼れる相棒として非常に優秀だったが、
時々思い詰めたような表情を見せる事もあった。





09-03

「なにカメラ見てんだエキドナ」

「視聴者に萌えを供給してみました」






違う。そこのシーンじゃねえ。





・・・急に大学に行きたいなんて珍しく主体性のある発言をした時から変だなと思っていたが。

こいつが只のゴーレムやスケルトンの類なら、何も言わずボーッと横に突っ立っていれば良かったのだ。

だが、彼女は人形ではない。それは側にいる俺が一番良く知っている。





64-05

「…アクは強いけど、いい奴はいい奴なんだよな。マゾーガって」

「強引な人でしたが、不思議と嫌な感じはしませんでしたね」



コイツは、人の感情の機微も理解する事が出来る。
実際、エキドナの言葉で前に進む事が出来た場面もあった。

だが、それは彼女の善意からやっている行動ではない。
MPCとしての使命から、俺から受け取った情報に対して対処してきた。
「俺に出来ない事をする」という彼女の弁は、自負ではなく、生きる理由そのものなのだ。


「濡れた服は乾かせばいい。身体が冷えれば暖めればいい」





117-06

「ですが、今のあなたを回復させる手段を、私は見付ける事が出来ません」

手段が見付からないのに、何とかしようとする。
・・・こいつが只のゴーレムやスケルトンの類なら、何も言わずボーッと横に突っ立っていれば良かったのだ。



「・・・何もしなくていいよ」



俺が落ち込んでるのと、お前が俺に何も出来ないのは何の関係もない。
取り返せない物を後悔する事を、癒せる人間なんて居ないのだから。

だが、エキドナはこう答えるしかない。


「それでは、私のいる意味がありません」


いる意味なんて無くていいのだ。
エキドナ=スカイアイは一個の人格として存在しているのだから。

だが、MPCとしての枷に囚われた彼女は、己を「道具」とする事でしか自分を肯定できない。








『MPC――何よりも愛おしく、哀しい枷を与えられ、尚輝きを失わぬ生命たちへ。
ただその生命が虚しい物へ終わってしまう前に。
私は創造主として希望を与えなければならない。
私の最後の娘、彼女達の命を積み重ねて生まれるエキドナタイプへ』









あの魔術師の言葉が再び脳裏に甦る。

人間になれない人形ではなく、人形になれない人間。

それは、つまり――この女がどうなるかは俺次第で。

それは、つまり――

・・・俺が倒れた時は、彼女もまた堕するという事なのだ。

なんていう、呪い―――


























『だが私はそんな君たちが愛おしい』

























109-15

『だから私は思う。
これはセプティムとして生まれた私の義務ではなく、権利だと』














・・・あぁ。

そうなのか、マーティン?

だからあんたはそんなにも、戦う事が出来たのか。
そんなにも、守りたいと思ってくれたのか。












***



















117-07

「・・・マジェラ?」

「動くな。じっとしてろ」



彼がそう言うので、私は動かなかった。
私は、彼の次の言葉を待った。

何か言おうとしてるけれど、躊躇っている。耳元の彼の息遣いがそう語っている様に思えた。


「・・・どうすればいいかって?」


ややあってから、マジェラはようやくそう言った。



「はい」

「どうしようもない。諦めろ」

「・・・はい?」



彼の口から出たのは、意外な程ネガティブな言葉だった。


「マーティンは死んだ。すげぇ悲しい。
それは俺にはどうにも出来ないし、お前にもどうにも出来ない。
だから―――仕方ねぇんだよ」



ネガティブではあったが、いつも通りの彼の口調だった。


「仕方ない・・・ですか?」

「悲しみは悲しみだ。それは誰にもどうする事も出来ない。お前にもな」

「・・・」

「だから、お前はそこにいろ―――相棒」

「・・・」

「でないと、おちおち落ち込む事も出来やしねえ」

「はい?」

「何でもねえよ」



こっそりとマジカを練り、マジェラの精神バランスを覗いてみる。
彼の精神は、先程までとは比べ物にならないほど安定している。

・・・こうしてる事に、何か意味があるのだろうか?




「マジェラ」

「何だよ」

「夜伽が必要なのですか?」

「ぶん殴るぞ」

「すいません」

「・・・何をすればいいって聞いたのはお前だろうが。いいから黙ってじっとしてろ」

「はい」



何かの言い訳の様に、マジェラが怒ったので、私は彼のしたい様にさせた。

少し苦しかったので身体の力を抜いて彼の胸板に体重を預けてみると、
マジェラは私がよりかかり易い様にそっと態勢を変えた。

その、何でもない行動が―――




117-08

『優しい言葉だけが心を癒す方法じゃないわ』

そうか。
これが、そういう事なのですか、ター=ミーナ。


いつの間にか、私を追い立てていた得体の知れない焦燥感は、嘘の様に消えていた。






















117-09

『最後に―――

繰り返すが、今これを読んでいる者が、彼女を最初に起こす者が、
聡明な人物である事を私は強く望む。

願わくば、貴公が彼女に人と平和を知る自由を与える事を強く願う。
私達の愚かな所業により生まれた彼女が、どうか哀しい生を歩まん事を』

















注釈



●今は12月

奇しくもメインクエが終了したのがタムリエル時間でも12月でした。
四季を追加するMODも気になってはいるのですが、負荷が怖いのでまだ入れてません。

そろそろespをマージする作業に戻る季節の予感。



●MPC

くどい様ですがMagic People Companionの略で、コンパニオンMODのmpcとは関係ありません。
そこから発想した設定ではありますが、念の為。

自作キャラだけで長々とやる様な場面はミスカーカンド編以来なるべく避けてきたので、
今回はちょっとした冒険でした。

マジェラとエキドナでやりたかったのは「主従関係」だったのですが、
気付いたら主従萌え要素は全部マーティンが持っていった罠。
流石にこのまま空気化するのも可哀相だと思い、蛇足ながらこんなエピソードをひとつ。

完全創作はしんどい。Vanillaのキャラがどれだけ魅力的か改めて解りました。



●夜伽

よとぎ。古い言葉です。
「伽」とはおとぎばなしの「とぎ」の事で、本来は寝る前にするお話的な意味なのですが、
隠語として使う場合はその、夜の…ごにょごにょ。

関係ない話ですが、その昔「少年漫画のヒロインは必ず脱がなくてはいけない」という
決まりごとがあったとか無かったとか。

テキスト書いてる時はまだ良かったけど実際に絵にしてみるととても恥ずかしい。

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テーマ:Oblivion - ジャンル:ゲーム

  1. 2009/12/11(金) 19:34:46|
  2. RP小説-メインクエ篇
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

おじゃまします~

ちょうど同じ雰囲気のハグSS撮ってたのでびっくりしましたw
夜伽(とぎ)はオブリ自体が美麗なファンタジーなのでぴったりですね。クエストでも家族の繋がりが設定されている割に、家族愛のちょっといい話がクエストでは少ないので、上手く創作できたらな~って頭の隅で思っています。
夜、子供に聞かせるような伽はオブリにはたくさんありすぎますよね(・∀・)

※先日行った温泉は混浴ではありませんw
  1. 2009/12/11(金) 20:34:05 |
  2. URL |
  3. かにうま #-
  4. [ 編集 ]


マジェラ復活だ!エキドナの荒療治が必要だったのですね!

> 夜伽(そこからか)
そんな展開になったら「ゆうべはおたのしみでしたね」って言われてしまいますよ!あのハイエルフに!
いいムードだったりしても甘くはならないマジェラとエキドナがいとしいです
男女である以前に相棒っていう、確固たる信頼関係があるというか。
いいなあ こういう関係。ニヨニヨしつつもほっこりしました。

> エキドナのお父様
或いはお母様。は深い慈愛をもって彼女らを創造したのですね。
私の想像の中のアイレイドさんたち(それに連なる人たち)は外道な感じの方々だったので
ああ、そういう愛情による創造もある訳か!と新鮮だったのです。今更ですが!
  1. 2009/12/12(土) 22:28:17 |
  2. URL |
  3. ウロ #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>かにうまさん

ポーズやシチュが被るのは同じゲーム故仕方なしかと。
当初、マジェラは変身設定があったんですがそれも既に他所でやってましたし(笑)

>家族愛
チェイディンハルの馬鹿息子がいるじゃないか!…と思ったら別にいい話でもないですねorz
強いていえばコロールの畑兄弟でしょうか。
「親父が腑抜けだから俺達がやってやる!」って感じではありましたが・・・。

>夜、子供に聞かせるような伽
Gates to Aesgaardとかですね。わかります(違)
帝都市民の間ではアカトシュの降臨なんていい話かもしれませんね。

>温泉
残念(何)


>ウロさん

>「ゆうべはおたのしみでしたね」
本当に言いそうだから怖い。

>エキドナの荒療治が必要だったのですね!
マーティンとマジェラという主従関係から、マジェラとエキドナという主従関係に戻った事で
マジェラにも「主」であった親友の気持ちが理解できたのかもしれません。

甘くならないのは書き手がひねくれてるせいです。
今回は最大の譲歩をしました(誰にだ)

マジェラは一応成人男性ですが、頭の中身は中学生並です(笑)


>ドナパパ

私もアルドマーは相当エグい事もしてたんじゃないかと思っていますが、
研究対象があまりにも人間くさすぎた故に情が移っちゃったらしいです。
詳しくはミスカーカンド編を。

彼がエキドナを何とか幸せにしてやりたいとやってみた試みは
今回のエピソードを見る限り割と失敗に近いのですが、中学生脳の主人公に
「仕方ねぇ」の一言で一蹴されました。
パパ乙。

  1. 2009/12/13(日) 20:48:46 |
  2. URL |
  3. 天気輪 #-
  4. [ 編集 ]

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Author:天気輪
天気輪(てん・きりん)

PS3版をプレイ後、
PC新調を機に2009年6月から
TES4 oblivionを開始。

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